【課題15:脳磁図によるヒト脳機能の計測と解析】
 脳を構成する神経細胞が活動し、細胞電流が流れると、その周囲に磁場が発生します。この磁場を頭外から記録・解析することで、脳内で起きている活動を調べるのが脳磁場計測(MEG)という手法です。MEGの長所は、脳活動に関してmm単位,msec単位の空間及び時間分解能をもつ情報が得られる点、そして計測が人体に対して全く非侵襲という点です。しかし、脳内の電気的活動によって生じる生体磁気信号は地磁気の1億分の1程度と非常に微弱である為,高性能の磁気シールドルームや超伝導技術を駆使したSuperconducting QUantum Interference Device(SQUID)を用いた計測装置が必要とされること、また活動源の解析に関しては数学的な逆問題を解かなければならないこと等の問題点があります。
 近年注目されている脳機能画像化による脳研究において、MEGは非常に有用な手法の一つであると言えますが、より信頼性の高い脳磁場の記録や解析をするためにはMEGの特徴について基本的な理解が必要と思われます。
 本コースでは、脳磁場の記録・解析についての基本的な事項を、講義と実習を通して会得することを目指します。実習では参加者自身が実験者あるいは被験者となり、聴覚、視覚、体性感覚等に関するMEG実験を行なうことを予定しています。