課題番号14

脳磁図計測・解析の基礎

柿木隆介,金桶吉起,渡辺昌子

神経細胞の電気的活動に伴って発生する磁場を記録するのが、脳磁場計測(MEG)という手法です。磁場は脳脊髄液などの生体組織に影響されないので、脳波と比較し格段に鮮明な脳活動を測定することができます。頭部外から脳表面からの信号を直接記録するのに匹敵し、これはまるで、地上からでありながらハッブル宇宙望遠鏡並みの鮮明さで星を観察することができるようなものです。

近年注目されているヒト脳機能の研究において,MEGは非常に有用な手法の一つであるといえます。長所として,計測が完全に非侵襲的である点と,脳活動に関して高い時間分解能をもつ情報が得られる点が挙げられます。機能的核磁気共鳴画像(functional MRI)は、「脳内のどこが何に関わっているか」、つまり脳の機能的地図を作ることができる手段であるのに対して、MEGでは、Real time で脳に何が起こっているかというダイナミクスを見ることができます。つまり、「脳が『どのように』活動しているのか」ということを調べることができるわけです。

本コースでは,脳磁場の記録・解析についての基礎を講義と実習を通して理解してもらうことを目指します。実際の運用に際しては,微弱な磁場の記録に伴う技術的な問題,脳磁場の発生源解析にともなう制約,適切な実験デザインの選択など重要な基本事項を理解しておくことが必要です。実習では,参加者自身が実験者あるいは被験者となり,体性感覚,視覚,聴覚などに関するMEG計測を行なうことを予定しています。



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