自然科学研究機構
Last Update 2006年 6月 21日


 

2006年 自然科学研究機構生理学研究所

第17回生理科学実験技術トレーニングコース

“生体機能の解明に向けて”――分子・細胞からシステムレベルまで――

(計画は変更される可能性があります)
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日 程

7月30日(日)13:00―31日(月)正午

特定領域研究「脳機能の統合的研究」レクチャーコース

 プログラム/詳細

 

7月31日(月)13:00−17:40

講演・研究紹介

プログラム詳細

8月1日(火)-4日(金)

実習コース

実習内容/詳細


8月2日(水)18:00−20:00 

トレーニングコース交流会


8月4日(金)15:00− 

研究室訪問


講演・研究紹介

7月31日(月)午後 (岡崎コンファレンスセンターにて)

  • 12:15 受付開始


  • 13:00 挨拶 水野昇 生理学研究所 所長


  • 13:05 講演
    岡村康司 岡崎統合バイオサイエンスセンター・神経分化研究部門・教授 
    「膜電位情報はどのように細胞の中へ伝えられるか?:膜電位感受性タンパクの多様性と原理」


  • 15:00−17:40
    研究紹介(各部門・研究室から関連領域で注目されている実験技術を中心に
    話題を提供してもらいます)
  •  

時間
研究部門

15:00-15:10

統合バイオナノ形態生理(永山研)
15:10-15:20
分子神経生理(池中研)
15:20-15:30
機能協関(岡田研)

15:30-15:40

神経機能素子(久保研)
15:40-15:50
統合バイオ生命環境(富永研)
15:50-16:00
心理生理学(定藤研)
16:00-16:10
神経シグナル(井本研)
16:10-16:30
休憩
16:30-16:40
大脳神経回路論(川口研)
16:40-16:50
生体恒常機能発達機構(鍋倉研)
16:50-17:00
生殖内分泌発達機構(箕越研)
17:00-17:10
認知行動発達機構(伊佐研)
17:10-17:20
生体システム(南部研)
17:20-17:30
感覚運動調節(柿木研)
17:30-17:40
脳形態解析(重本)

 


実習コース 一覧

 

No.
タイトル
担当部門
担当者
受け入れ人数
1
「位相差電子顕微鏡の原理と実践」 ナノ形態生理研究部門 新田浩二 5名
2
「免疫電子顕微鏡法」 脳形態解析 重本隆一 3名
3
「N−結合型糖鎖の解析」 分子神経生理部門 池中一裕 4名

4

「in vitro 発現系を用いたイオンチャネル・受容体の機能解析」
(機構連携プロジェクト「バイオ分子センサーの学際的・融合的共同研究」共催)
岡崎統合バイオサイエンスセンター神経分化研究部門
生理研・神経機能素子研究部門
岡村康司 6〜8名
5
「パッチクランプ基本法とその応用」
(機構連携プロジェクト「バイオ分子センサーの学際的・融合的共同研究」共催)
生理研・機能協関研究部門
生理研・生体恒常機能発達機構研究部門
岡崎統合バイオサイエンスセンター・神経分化研究部門
岡崎統合バイオサイエンスセンター・細胞生理研究部門
富永真琴 24名
6
「2光子顕微鏡による観察の基礎」 脳機能計測センター・生体情報解析室 根本知己 3名
7
「スライスパッチクランプ法(基礎コース)」 神経シグナル研究部門 井本敬二 11名
8

「スライスパッチクランプ(応用コース)

脳形態解析部門 籾山俊彦 2名
9
「局所神経回路の形態的解析法」 大脳神経回路論 窪田芳之 6名
10
「マウス・ラットの発生工学技術」 行動・代謝分子解析センター遺伝子改変動物作製室 三寳 誠 4〜6名
11
「生理学実験のための電気回路・機械工作-PICマイコンによる温度コントローラとバスチェンバーの作製-」 技術課 大庭明生 8名
12
「摂食・飲水行動発現機構入門」 生殖・内分泌系発達機構 志内哲也 4名
13
「麻酔下動物での電気生理実験」 認知行動発達機構研究部門 伊佐 正 5名
14
「慢性動物実験法入門」 生体システム研究部門 南部 篤 8名
15
「脳磁図によるヒト脳機能研究の基礎」 感覚運動調節 金桶吉起
柿木隆介
6〜8名
16
「脳機能画像解析入門」 心理生理学研究部門 田邊宏樹 30名

 


実習コース詳細

  1. 「位相差電子顕微鏡の原理と実践」

    当部門では電子顕微鏡における宿題であった、無染色の“生”状態の生物試料の観察、を可能とする位相差電子顕微鏡の開発に取り組んでいる。位相差電子顕微鏡の原理自体は光顕の応用であり難しくないが、正しく働く位相板の作成が過去50年間完成しなかった。私たちはこの難問を解決し、正しく働く位相板と位相差電子顕微鏡の開発に成功し、2004年度から生物への応用研究を10指を越える生物、医学関係の研究者と共同で行っている。本トレーニングコースでは組織試料に対するアプローチとして無染色樹脂包埋切片、微細試料に対するアプローチとして氷包埋による位相差電子顕微鏡観察を行う。

  2. 「免疫電子顕微鏡法」

    生体のはたらきを知るためには、まずその構造を知り、機能分子がその構造の中でいかなる分布、局在、動態を示すかを知ることが、基本的に重要である。電子顕微鏡レベルで分子の局在を可視化するためには、特定 の分子を選択的に、且つできるだけ高解像度で標識することが必要となる。免疫電子顕微鏡法(免疫電顕法)とは、超微形態レベルで抗原分子の局在を特異抗体を用いて観察する免疫組織化学法のことである。本コースでは神経科学において高解像度で抗原分子の局在を観察するために広く使われているPre-embedding法やPost-embedding法などの金標識抗体法を、神経伝達物質受容体の局在解析を例として紹介する。

  3. 「N−結合型糖鎖の解析」

    N―結合型糖鎖は糖蛋白質のアスパラギン残基に結合している糖鎖であり、糖蛋白質の品質管理・構造維持および糖鎖自身の機能として細胞間認識などに寄与している。今までこの糖鎖の重要性は認識されてきたものの、糖脂質などとは異なりその解析方法が確立されていなかったため、あまり構造解析は進んでいなかった。
    分子神経生理研究部門では長年組織で発現しているN―結合型糖鎖パターンを解析してきたが、微量化を進めることによりゲルで分離した糖蛋白質糖鎖構造を決定することを可能とした。一般的に使用されている質量分析計を用いることなく、微量化に対応した蛍光標識による糖鎖解析法をトレーニングして頂く。


  4. 「in vitro 発現系を用いたイオンチャネル・受容体の機能解析」
    (機構連携プロジェクト「バイオ分子センサーの学際的・融合的共同研究」共催)

    イオンチャネル・チャネル型受容体・代謝型受容体・新規電位センサー蛋白等の膜機能蛋白を、アフリカツメガエル卵母細胞、HEK293細胞等の in vitro 発現系を用いて発現させ、その分子機能と細胞応答を、2本刺し膜電位固定法、パッチクランプ法、細胞内Ca2+イメージング法、GFPによるリアルタイムイメージング法などにより解析する。データの解析法や実験の統合的な進め方についても議論を行う。二つの研究室(久保義弘教授の研究室と岡村研究室)に分かれて少人数でのマンツーマンでの指導を行う。電気生理が初心者のひと、逆に分子生物学が初心者のひとも歓迎し、各自の希望に添ってできるだけ個別対応する。


  5. 「パッチクランプ基本法とその応用」
    (機構連携プロジェクト「バイオ分子センサーの学際的・融合的共同研究」共催)

    パッチクランプ法による実際の電流記録と活動電位の関連を基礎から学ぶことができます。神経細胞の膜電位依存性Na及びKイオンチャネルの活動をパッチクランプ法で記録します。活動電位の発生機構を理解するために、Hodgkin-Huxleyの式のコンピュータシミュレーションなどを活用します。こうした基本法を修得した後、希望者は以下のような応用技術を学ぶことができます。1) リガンドセンサー、細胞容積センサーおよび膜伸展センサーとして機能する3種のチャネル分子の働きを観測します。リガンド作動性イオンチャネルを発現した細胞にパッチクランプ全細胞記録を行い、リガンド作動性イオンチャネル活性をモニターすることで、標的細胞からのリガンド放出をリアルタイムに観測できることを体験します。また、細胞容積増加や細胞膜伸展に反応して活性化するイオンチャネルを全細胞記録および単一チャネル記録を用いて観測し、細胞が如何に容積増加や膜伸展を検知するかを実際に体験します。2) 細胞内情報伝達関連分子をintactに保ったまま、イオンチャネルなどの各種細胞センサー活動を観察できる穿孔パッチ法の技術/応用を修得します。具体的には、ニスタチン穿孔法を利用した受容体-イオンチャネルの細胞内クロストーク、およびグラミシジン法を利用した神経細胞本来のGABA応答や細胞内Cl-濃度調節機構を観察する技術/応用を習得します。また、標本として、任意の部位から神経細胞を急性単離する技術も修得します。3) 非選択性陽イオンチャネルで高いCa2+透過性を有する温度感受性TRPチャネルの機能解析を学びます。具体的には、感覚神経細胞の初代培養法とHEK293細胞への温度感受性TRPチャネル遺伝子の導入法を修得します。そして、それらの細胞を用いて温度変化による電流活性化と細胞内Ca2+濃度の増加をそれぞれパッチクランプ法とCa2+-imaging法によって観察します。
  6. 「2光子顕微鏡による観察の基礎」

    2光子励起顕微鏡法は細胞や組織深部の定量的蛍光観察や刺激を可能とする新しい生理学的手法で多くの成果を上げていますが、それに触れる機会はまだ少なく、その正しい理解や応用は必ずしも容易ではありません。本コースでは、光学顕微鏡の基本的操作法の講習から始めて、2光子励起顕微鏡を用いた生体標本の観察を体験し、さらに、分泌細胞の開口放出の定量化、ケイジド試薬の利用、細胞内カルシウム濃度測定など、当研究室で日常的に行われている応用例に触れていただきます。2光子励起顕微鏡法に親しみたい方、また、一般にカルシウム濃度測定、蛍光観察による開口放出などに興味のある方が対象です。


  7. 「スライスパッチクランプ法(基礎コース)」

    コースの概要(400字程度で):1976年Neher とSackmannによって開発されたパッチクランプ法はいくつかの改良を経て、細胞の活動性を検出する方法として様々な分野に活用されており、電気生理学的手法を馴染んだ事の無い人がいきなり始めることも多いと思う。本コースでは正立顕微鏡やマニュピュレーターを扱ったことのないパッチクランプ実験の初心者を対象に、脳スライス標本の作製における留意点、細胞の選び方、パッチクランプのし方など、スライスパッチクランプ法の基本的技術を習得し、ホールセルパッチクランプが各自でできるようになることを目的とする。また、スライスパッチクランプ法の基本的理論を理解する。実習は囓歯類の大脳皮質、小脳などのスライス標本を用い、voltage-clamp 法、current-clamp 法で記録し神経細胞とシナプスの基本的性質を観察する。希望者はバイオサイチン染色法を行い、パッチした細胞の形態を観察する。


  8. 「スライスパッチクランプ(応用コース)」

    スライスパッチクランプによる実験を始めてみたが、例えば良いスライスができない、シナプス電流誘発がうまくいかない、等の問題点に直面している、という人を主たる対象とする。スライス作製、ホールセル記録、シナプス電流誘発、薬理学的解析という各過程の注意点に焦点を当てて、着実なデータ取得のための技術、考え方を検討する。


  9. 「局所神経回路の形態的解析法」

    神経細胞間の結合を見る為の簡便な方法として、光学顕微鏡レベルで2種類の神経細胞を異なる色で染色し、一方の神経終末がターゲットの神経細胞の樹状突起あるいは細胞体に接着している事が確認できる免疫組織化学2重染色法を紹介します。ラットの還流固定を行います。次に、50オm厚の大脳皮質切片を作成します。シュークロース緩衝液で軽く脱水の後、液体窒素を使って急速凍結します。このまま冷凍庫にて長期保存する事も可能です。次に切片を解凍して、過酸化水素水で内在性のHRP活性をおとし、2種類の第一抗体を混ぜた液で一昼夜処理します。その後、HRP-第2抗体、biotin-第2抗体で処理し、まず一方の抗体でマーキングされた方をnickel-DAB反応で処理し黒色に染色します。次に、切片をABC液で処理した後、DABで茶色に染めます。包埋は、半永久的に保存できるようepon樹脂を用います。大脳皮質局所回路に興味を持っている方を歓迎します。


  10. 「マウス・ラットの発生工学技術」

    受精直後の卵子に外来DNA溶液を顕微注入して借腹雌に移植すれば、新しい遺伝形質を付与した、いわゆるトランスジェニック動物を作ることができる。またマウスでは標的遺伝子組み換えという手法を利用して、染色体の遺伝子配列を自由自在に変換させた個体を作り出すこともできる。分子生物学的手法と発生工学的手法を駆使して作製したこれらの遺伝子改変動物はヒト疾患の発症メカニズムや脳神経機能の分子メカニズムを解明するのに大いに役立っている。本コースでは、1) 実験動物(マウス、ラット)の取り扱い、2) 卵子の採取(過剰排卵誘起、卵管・子宮灌流)、3) 卵子の凍結保存 (ラット卵子の二段階凍結、マウス卵子のガラス化)、4) 卵子の移植(ラットの卵管内移植、マウスの子宮内移植)、5) 卵子の顕微操作(DNA注入、8-cellインジェクション、顕微授精)、といった発生工学の基本技術について実習する。


  11. 「生理学実験のための電気回路・機械工作
    -PICマイコンによる温度コントローラとバスチェンバーの作製-」

    本コースは、電気生理学の実験手法の一つであるパッチクランプ実験をテーマに、電気生理実験に有用な灌流液の温度調節用「溶液温度コントローラ」と「アクリル製バスチェンバー」の作製を行います。電気回路実習では、「温度コントローラ回路」と「直流定電圧電源回路」及びプログラム書込に必要な「PICライタ」の作製を行い、回路技術及びマイコン制御の基本を学びます。機械工作実習では、当研究所で実際に使用されている「アクリル製バスチェンバー」の製作を行いながら、機械工作技術の基本を学びます。作成した「溶液温度コントローラ」と「アクリル製バスチェンバー」を組み合わせて使用することで、灌流液の温度コントロールが可能な実験環境が整います。このような実践型の実習を通し、生理学実験に必要となる実験機器の製作技術の基本と応用力の養成を目的とします。


  12. 「摂食・飲水行動発現機構入門」

    摂食・飲水行動は生命維持に関わる最も基本的な本能行動であり、生体内外の環境変化を中枢神経系においてモニターすることによって惹起される。本コースでは、これら本能行動の神経回路網を明らかにする研究法の一つとして、マウス視床下部・脳室内に微量の神経伝達物質、ホルモンを投与し、摂食・飲水行動の発現、自発運動量の変化を観察する。特に本実習においては、1)マウス視床下部神経核・脳室内への微小カニューレの挿入、頭蓋への固定技術、2)無麻酔・非拘束下において、固定した微小カニューレよりホルモン・神経ペプチドを投与する技術、3)マウスの摂食・飲水行動ならびに自発運動量を観察・定量化する基礎技術を学習する。また、マウスは実験者及び実験環境に慣れ難いため、行動実験においてはマウスへのストレスを最小限にするなどの注意が特に必要である。そこで、マウスのハンドリング操作を含む、マウス個体を用いた実験法の基本的事項についても併せて学習する。


  13. 「麻酔下動物での電気生理実験」

    麻酔下の動物で神経回路を校正する細胞間の結合関係や神経回路の動的特性、また個々のニューロンの細胞内電位や膜特性を計測する実験は1950年代から微小電極法の開発に伴って急速に進歩し、1960ー70年代までは神経生理学における主要な実験技術のひとつとされてきた。その過程で様々なノウハウが蓄積されてきたといえる。しかし1970年代から無麻酔動物での行動中の神経活動の記録法が発展してきたこと、また単離培養細胞やスライスなどのin vitroでのパッチクランプ法などの実験系がより洗練されてきたこと、さらには機能的MRIなど非侵襲的脳機能イメージング法が発展してくるに従って、麻酔下の動物での電気生理実験は「辛くて大変な割にはあまり大したことがわからない実験」として敬遠され、すっかり下火になってしまっていた感がある。しかし、近年遺伝子改変動物の開発によって分子生物学が、より個体機能を目指すようになってき、さらには培養細胞やスライスで解析できることの限界が認識されるに従って、麻酔下個体動物での神経回路の電気生理学的実験の必要性が再認識されるようになってきている。本コースでは麻酔下動物での電気生理実験の最も基本的な実験手技を習得することを
    目的として、麻酔下ラット、マウスにおいて1.錐体路などの主要な脊髄伝導路の神経伝導(伝導速度、不応期など)の計測、2.感覚刺激や中枢神経系の局所的電気刺激に対する大脳皮質や上丘におけるフィールド電位や単一ニューロンの応答を記録する手法を実習します。特に麻酔下で動物の全身状態を良好に保つことが実験を成功させる秘訣である。生体機能のモニターに注意を払いながらより良い実験データを取得する方法を学びます。


  14. 「慢性動物実験法入門」

    覚醒下の実験動物に様々な課題を遂行させ、その際の神経活動を記録・解析するという「慢性実験」は、神経回路が実際に生体内でどのように働いているかを解明する上で強力な手段です。様々な脳領域に刺激電極を留置しておくことにより、従来の急性実験と同様に電気生理学的に神経回路を解析することも可能です。また、覚醒下で行うため、麻酔の影響などを排除することも可能です。さらに、神経解剖学的研究において標識物質の注入部位を生理学的に同定する際にも、慢性実験のセットアップは有用です。しかし、このような実験技術は手から手へと受け継がれることが多く、なかなか体系だって習得する機会が少ないのが現状です。本コースでは、このような慢性実験を始めたばかり、あるいはこれから始めようとする研究者や大学院生を対象に、講義・実習を行います。


  15. 「脳磁図によるヒト脳機能研究の基礎」

    脳磁図は、完全に非侵襲的にヒトの脳機能を測定、研究することができる優れた方法です。しかしその原理や特徴を知らずに使用すると、間違った結果を導く危険性もあります。本コースでは、これから脳磁図を用いて研究を始める学生または若手研究者を対象に、脳磁図測定の原理を分かりやすく講義し、また基礎的な測定方法を習得、自ら具体的な実験計画を作成できるようになることを目指します。また、脳波やfMRIなどとの方法論的相違点も明らかになるので、これらを用いて現在研究をしている若手研究者にも有意義なコースです。


  16. 「脳機能画像解析入門」

    機能的磁気共鳴画像法に代表される脳機能画像法の発達により、人体を傷つけることなく脳活動を可視化出来るようになった。得られるデータの解析には統計学的手法の応用が不可欠であるが、近年解析がパッケージ化されていることもありその中身を理解しなくとも比較的簡単に脳活動地図が得られてしまう。しかしその誤った取扱い(安直なデータ収集や不適切な解析、誤った解釈など)は、思わぬ誤解を招くだけでなく真実からかけ離れた結論を導き出す危険性を孕んでいる。本コースでは、脳機能画像解析を始めたばかりあるいはこれから始めようとする初心者の学生を対象に、(1)脳機能イメージングにおける実験パラダイムの立て方、(2)画像データの処理および統計解析の理論と実際、(3)結果の解釈やまとめ方、について実際の機能的MRIデータを教材とした講義と実習を行う(MRIを使った撮像実習は行わない)。 これらを通して脳機能画像法のもつ可能性とピットホールについてバランスのとれた理解を深められるようにする。

  17.  

     


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