研究内容

研究室紹介ビデオ

 視覚情報処理研究部門では、経験と学習によって、どのように脳の神経回路が作られ働くかを、ミクロからマクロまで様々な角度から調べています。動画では実際の研究に使う実験手法を紹介します。youtube.png

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大脳皮質の情報処理メカニズムと経験依存的な機能発達

 大脳皮質の機能は、生まれ育った環境に適応するために、生後の経験や学習に依存して柔軟に発達します。このような機能発達は、大脳皮質のシナプス・神経回路が可塑的に調整されることにより生じると考えられています。我々の研究部門は、大脳皮質における視覚情報処理とその経験依存的調節のしくみを神経回路レベルで理解することを目指し、主にラット・マウスの視覚系を対象に、機能と神経回路を対応付ける解析を行っています。この解析により、情報処理の基盤となる神経回路や、神経回路・機能発達における視覚経験の役割などを明らかにしてきました。またこれに関連して、シナプス標的の分子機構や学習に伴う神経活動の変化についても解析しています。実験手法としては、スパイク活動の多点記録や2光子顕微鏡を用いたCa2+イメージングによる視覚反応の解析、脳切片標本にケージドグルタミン酸や光遺伝学よる局所刺激法とホールセル記録法を適用した神経回路の機能解析、越シナプス性ウイルストレーサーによる神経結合の形態学的解析等を用い、多面的に研究を進めています。下記の項目が、現在遂行している主な研究課題です。

(1) 特異的神経結合による微小神経回路網の形成メカニズムおよび情報処理における役割

(2) 発生期の細胞系譜に依存した神経結合と視覚反応選択性の形成

(3) 様々な発達段階にある動物や生後の視覚入力を操作した動物の視覚野におけるシナプス可塑性と視覚反応可塑性

(4) 越シナプス性ウイルストレーサーによる神経回路解析

(5) 視覚誘発性の行動課題を担う皮質神経細胞の活動

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大脳皮質微小神経回路網の解析シナプス結合している2/3層錐体細胞ペアからの記録。ケージドグルタミン酸を用いたレーザースキャン光刺激により誘発した興奮性シナプス後電流に相互相関解析法を適用し、細胞ペアへの共通入力の割合を調べた。
 
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視覚野スライス標本上にある複数の興奮性細胞からの同時ホールセル記録ホールセル記録により神経結合を調べた錐体細胞(左)とシナプス結合が見られたペアから記録されたシナプス前スパイクと興奮性シナプス後電流(右)。


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視覚弁別課題を遂行中のラットの一次視覚野からのマルチユニット記録一次視覚野に多点電極を挿入することによって、多細胞の発火活動を同時に電気生理学的にマルチユニット記録した。各電極点から記録される発火活動の波形の特徴から個々の細胞由来の発火活動に分類して解析した。



 
タイトルxyz3D。