ポスドク研究者を募集します(2019/5/30)

(勤務時間や休日についての就業規則の情報を追加しました。最新版は2019/6/3 12:15更新のものです。なお、本文章は初出の5/30以降で情報の追加、表現の改良によるアップデートは行いましたが、条件の変更はおこなっておりませんので。)

Title: 生理学研究所・認知行動発達機構研究部門(吉田グループ)ポスドク研究者募集

生理学研究所・システム脳科学研究領域・認知行動発達機構研究部門に所属している吉田正俊助教は、ラボを主宰する磯田昌岐教授の元で、独立した研究プロジェクトを進めております。ここ数年は、統合失調症の脳内メカニズムの解明を目指して、マーモセットを実験動物として、視線計測と神経活動計測を用いた研究を進めてきました。この4月からスタートした後期革新脳に採択されましたので、本研究の中心部分を担当するポスドク研究員を1名募集します。

[1. 研究プロジェクトについて]

吉田グループでは統合失調症の脳内メカニズムの解明を目指した研究を行っております。統合失調症患者では眼球運動および視覚探索の空間パターンが影響を受けていることが以前から知られております。吉田はこれを視覚サリエンスへの影響として捉えることでヒト-動物で共通の脳・行動マーカーを確立できるのではないかという作業仮説を持っております。この仮説の実証のため、統合失調症患者での視線計測データの解析、マーモセットでの視線計測と脳活動計測を行う研究を進めてきました。

現在吉田がマーモセットを対象とした研究で用いている実験手法は以下のとおりです:

  • フリービューイングおよび眼球運動課題中の視線計測(EyeLink 1000+)
  • 聴覚性、視覚性ミスマッチ陰性電位の計測と視覚心理学(Matlab、Python使用)
  • 内視鏡型Caイメージング装置(Inscopix社nVoke)を用いた神経細胞同時活動記録
  • 96ch ECoG電極による全大脳皮質活動計測(理研CBSとの共同研究)
  • ChR2を用いた光遺伝学的操作(京都大学との共同研究)
  • 視覚サリエンスおよび予測符号化についての計算論モデル
  • 微小眼球運動のダイナミクスの解析(チュービンゲン大学との共同研究)

本研究はAMED「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」(略称 革新脳)の前期(2014年10月-2019年3月)のサポートを受けており、吉田は「大規模脳画像解析とヒト-霊長類トランスレータブル脳・行動指標開発にもとづく精神・神経疾患の病態神経回路解明」に分担機関業務主任として参画しました。この共同研究プロジェクトの生理研の代表として「自発性眼球運動を指標とするサリエンシー検出機構の回路抽出」というタイトルで研究を行ってきました。

今年の4月から開始した後期の革新脳(2019年4月-2024年3月)では「双方向トランスレーショナルアプローチによる精神疾患の脳予測性障害機序に関する研究開発」 に分担機関業務主任として参画しています。この共同研究プロジェクトの生理研の代表として「視線計測に基づいた状況予測機能のマーモセット神経回路解析」というタイトルでひきつづき本研究を推進してゆきます。

今回の募集では、本研究での実験、解析について中心的役割を担っていただけるポスドク研究者を募集しております。

[2. 本募集のアピールポイント]

  • 実験室の環境: 上記の研究が可能な実験室(マーモセット飼育室含む)1スパン分(+α)を専有して研究に使用できます。マーモセット個体も現在14頭を飼育していて(最大16頭まで飼育可能)、これをすべて専有して研究に使用できます(研究者一人あたりの頭数としてはたぶん国内最大級だと思う)。
  • サポートスタッフ: マーモセット飼育、トレーニングに関わるサポートスタッフが2名いて、平日の動物飼育業務をしていただいております。現状で飼育と実験環境の維持が滞りなく行われています。
  • 研究の進行状況: これまでの研究から様々なデータを蓄積しており、直ちに論文を出せる環境が整っております。現在本プロジェクトの研究者は吉田のみなので、これまでの成果も引き継いでいただけます。
  • 研究室の環境: 磯田昌岐教授が主宰する認知行動発達研究部門の研究室(現在総勢12名)のメンバーとして参加していただきますので、ラボセミナーや各種行事などでコミニュケーションが十分取れます。いっぽうで、吉田が実験についての議論、指導など専従で行いますので、困ったときにはすぐ相談、議論、解決できる体制です。週末の動物の世話は研究室の全研究者で分担して行うので、月に一回程度、1時間の作業が必要となります。
  • 教育、指導体制: 吉田は生理研に併設されている総合研究大学院大学(総研大)の大学院生の指導を行い、これまでに2名の博士号取得に貢献してきました。伊佐研所属の時期からこれまでに革新脳、CREST、HFSPの枠組みの中でポスドク研究者5名(海外からの研究者3名を含む)との共同研究を行い、数多くの論文を出版してきました。以上のようにして研究における共同作業、教育、指導について豊富な経験を持っております。
  • 生理研のメリット: 生理学研究所は霊長類(マカク、マーモセット)を対象とした研究をするラボが2つ、それ以外にも神経科学を行うラボが数多くありますので、情報交換、ノウハウの共有をして協力しながら研究をしています。生理研のミッションのひとつが共同研究であることから、研究会や各種セミナーなども数多く開催されています。
  • 愛知県岡崎市のメリット: 岡崎市は人口38万人の地方都市で、都会すぎず、田舎すぎず、住みよいところです。生理研と駅(名鉄東岡崎駅)の間は徒歩10分程度で、車やバスは不要です。東京に出るのにドアtoドアで2.5時間。トヨタとか三菱とかの車産業のベッドタウンでいまだに人口が増えている地域です。子育てには向いてるけど、文化的にエキサイティングな場所ではないかも。私がライブとか見に行くときはだいたい名古屋まで出ます(電車で30分)。基本的に車社会ですが、わたしは独身時代の3年間は自転車だけで問題なく済んでました。
  • あと吉田が人格的に温厚。
  • というか、人間関係、性格の合う合わないはなによりも(研究テーマや将来性よりも)重要です。面接などの選考過程を通して、吉田とストレスなく人間関係を構築できるか見極めたうえで、着任するかどうかの判断をしていただけたらと思います。(選考する側も選考されてるんだよっていう自覚を表明。)
  • 本公募は、年限があり、吉田自身も助教だし(任期審査をパスしてテニュアですが)、首都圏から離れたエリアでの研究ポジションという、必ずしもベストな条件とはいえないものです。それでも上記のメリットがうまくマッチして、(現状よりも)幸せになれそうだという方にこそ来ていただきたいと考えております。

[3. 応募条件]

募集側と応募側のミスマッチを防ぐために、吉田の方からは、 以下の2つの条件を満たす方のみに応募を絞らせていただきます。

  • 3-1) 神経科学または動物行動学(含む学習心理学)の分野で博士取得、もしくは取得見込みの方。
  • 3-2) ご自身で動物(哺乳類)の行動トレーニングを行った研究で一報以上の筆頭著者論文を持つ方。
  • 補足1: 本募集はマーモセットを対象とした研究をしていただくものですが、マーモセット研究の最大のツボは、行動トレーニングだと考えています。当方には行動トレーニングのノウハウとその指導体制がありますが、まったくゼロからのスタートでは5年間のプロジェクトを完結させるには時間が足りません。そこで条件3-2を設定しました。
  • 補足2: マカクザルやラット、マウスなどと比べると、マーモセットは実験動物としての歴史が浅いため、行動トレーニングを用いた認知神経科学的研究はまだまだ少ないです。しかし、近年はJude Mitchellの論文(JNS 2014)でのサッケード課題や東大松崎研の論文(Nat Commun. 2018)でのレバー引き課題など、行動トレーニング法が急速に進歩してきています。マーモセットを用いた認知神経科学を行うには今がチャンスです。
  • 補足3: 電気生理学的実験の経験、行動課題および解析のためのプログラミングの経験がある方を歓迎しますが、必須ではありません。(それよりも条件3-2を優先してます。)
  • 補足4: 今後研究を続けてPIとして独立することを目指す方を歓迎しますが、必須ではありません。(アカデミックの世界でのキャリアアップを応援しますが、最終目的がそうでなくも手のひら返したりしません。)
  • 補足5: 動物が相手なので、様態急変などに対応できるように岡崎市近辺に在住できるほうが望ましいです。でもこれも必須ではありません。

[4. 採用後の待遇(給与、勤務時間、休日、雇用期間、保険等)]

  • フルタイム勤務で年棒制の雇用です。革新脳の中での身分は「研究員」、生理研としての身分は「特任研究員」となります。
  • 勤務時間に関しては専門業務型裁量労働制を適用しています(職員勤務時間,休暇等規程 第6条)。休日は土日および国民の祝日、年末・年始休暇(12/29-1/3)と夏季休暇(3日間)があります。土日の動物の世話を、ラボの研究員で分担して行っています(労使協定書第2条六を適用)。現在は一月に一回程度回ってきています。
  • 給与額は自然科学研究機構の特任研究員についての給与規定(年棒制職員就業規定第3章)で決まります。年俸から共済組合での健康保険、年金が差し引かれます。通勤手当がつきます。給与額についてはいくつかのモデルケースについて試算した資料を作成しておりますので、「応募方法」を確認していただいたうえで資料請求をしてください。

[5. 採用時期、採用期間]

  • 着任は早ければ早いほどありがたいですが、現在のお仕事、学業の都合もあるかと思いますので相談しましょう。
  • 現実的には9月スタートくらいを目標にしています。来年3月に学位取得の方は予めその旨ご連絡ください。策を練りましょう。
  • 採用期間は一年ごとの契約更新で最大で2024年3月まで(後期革新脳の終了まで)です。
  • 現状ではそれ以降の雇用はできないものと理解しておいてください。
  • 吉田自身が生理研から異動する可能性も(微粒子レベルで)存在しますが、その際には相談したうえで決断します(勝手に決めたりしません)。

[6. 応募方法、選考過程]

募集側と応募側のミスマッチを防ぐ、お互いの手間をなるたけ少なくする、ということを考慮して以下の段階を踏んでいきます。

  • A. 資料請求: この公募に興味を持った方はまずは吉田 myoshi@nips.ac.jp までメールして資料請求してください。(お名前、メアド、身分、所属、所属のわかるweb上の情報など、身元が分かる情報をお知らせください。) この公募についての詳しい資料(研究内容についての未発表資料、給与額の試算などの非公開情報など)を吉田から返送します。この資料を読んでいただいたうえで、改めて申し込むかどうか判断していただけたらと思います。(資料は現在作成中なので、週明け6/3以降に送付の予定。)
  • B. 応募: 応募をすると決断した方は以下の参考資料を吉田 myoshi@nips.ac.jp までメールしてください。選考作業は応募をいただき次第順次進めてゆきますが、目安として6/30(日)を締め切りとします。いきなり応募せず、かならずAの資料請求を行ってからにしてください。
    • 上記の条件3-1を満たしていることがわかる証拠。あらかじめcurriculum vitaeを作成している方はそれで結構です(写真不要、年齢不要、日本語英語どちらでも可)。それ以外の場合は、どこの大学で、指導教官は誰で、どのようなタイトルで、いつ博士号を取得したか(する予定か)について書いてください。
    • 上記の条件3-2を満たしていることがわかる証拠。CVにpublication listが入っていればそれでよいです。それ以外の場合はご自身のresearchmap, google scholar, ORCIDなどのURLを教えてください。
    • 現在の指導教官(現在研究活動を行っていない場合はいちばん最近の指導教官)がどなたか教えてください。(指導教官からの推薦やreferenceの許可はこの時点では不要です。第一次面接以降であらためて依頼します。)
  • C. 第一次面接: 以上の資料を元に選考した上で、skypeなどを使って遠隔で第一次面接を行います。6/30の締切を待たず、順次進めてゆきます。
  • D. 第二次面接: 生理研に来て研究室、実験室を見ていただきます。ラボのメンバーと話をするなどして着任したいかどうかの判断材料に使ってみてください。私との面接、セミナーなどもしていただきます。逆に吉田が現在のラボに伺いに行くという策も考えております。
  • 選考結果の通知: 各ステップで選考を行った上でメールで結果についてご連絡差し上げます。

以上です。ぜひ応募よろしくお願いします。

生理学研究所・システム脳科学研究領域・認知行動発達機構研究部門
助教 吉田 正俊
mail: myoshi@nips.ac.jp
生理研URL: http://www.nips.ac.jp/~myoshi/
researchmap: https://researchmap.jp/masatoshiyoshida/
google scholar: https://scholar.google.com/citations?user=rKyFv60AAAAJ