研究

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部門の最終年度にあたり、研究と共同利用に関する展望について述べる。

定藤は2023 年3 月に現職を定年退職するが、現在立命館大学総合科学技術開発機構の客員教授を兼務しており、2023 年4月に専任として異動する。3.2, 3.3 で述べたhyperscanning fMRI と7TMRI 技術開発を基盤として、精神医学の未解決問題である対人関係の神経機構とその破綻の理解を目的とする研究を継続する予定である。具体的には、成人を対象とした2 個体同時の機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)手法を用い、行動レベルでの個体間同期現象を神経活動の同期と対応付けてモデル化する。脳を階層化された予測装置と捉えるモデルでは、皮質表層領域は皮質深部領域からの予測信号と感覚信号の比較を担うと考えられることから、高精度MRI(7 テスラMRI)を用いて、皮質層別機能イメージングを行うと同時に、全脳に渡るグルタミン酸やGABA などの神経伝達物質をマッピングする。これにより「相互模倣」、「共同注意」、「心の理論」、「共感」の相互主体性を介した共有過程における予測符号化の関与とその神経基盤を明らかにし、対面コミュニケーションに障害のある自閉スペクトラム症(ASD)群に適用するものである。その際に、生理学研究所の「生体機能イメージング共同利用実験制度」を利用する予定である。国際脳(3.4 で記載)については、2023 年度はプロジェクトの最終年度にあたり、研究分担者とともに研究の取りまとめを行う。