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David Julius博士&Ardem Patapoutian博士
 ノーベル賞受賞のお祝い

2021年10月 5日 お知らせ
2021年ノーベル生理学医学賞はDavid Julius氏と Ardem Patapoutian氏が受賞されました。共同研究者である富永教授より、お祝いのメッセージを送らせていただきます。

 2021年のノーベル生理学医学賞が、温度と触刺激の受容体発見をしたそれぞれDavid Julius教授とArdem Patapoutian教授に授与されることが発表されました。
心からお祝い申し上げます。

 Julius教授のグループによってカプサイシンの受容体TRPV1が1997年に遺伝子クローニングされ、43度以上の痛み熱刺激で活性化することが明らかになり、初めての温度センサーとして注目を浴びました。その後、冷たい温度を感知するメントール受容体TRPM8を始めとして11の温度感受性TRPチャネルが明らかになりました。Patapoutian教授は、2010年に機械刺激の受容体Piezo 1とPiezo 2を報告しました。温度センサーも機械刺激センサーもイオンチャネルです。物理刺激の感知メカニズムは受容体分子が明らかでないためによく分かっていなかったのですが、温度感受性TRPチャネルとPiezoチャネルの発見で研究は大きく進みました。TRPV1は痛み刺激のセンサーでもあり、今後、感覚制御の研究や鎮痛薬開発が進むものと期待されます。

 私は、1996年から1999年までカリフォルニア大学サンフランシスコ校のDavid Julius教授の研究室に博士研究員として在籍して、TRPV1とTRPV2の遺伝子クローニングと機能解析のプロジェクトに携わりました。世界中でカプサイシン受容体遺伝子クローニングの競争が行われており、論文が出てひとまずホッとしたのを覚えています。痛み(辛み)センサーとして明らかになったTRPV1が熱センサーとしても機能することを見つけたときはとても興奮したのを覚えています。この実験は、「トウガラシを食べると口腔内に熱感が生じるので、熱刺激もTRPV1を活性化するかもしれない」というアイデアから行われました。私たちの身体は43度以上の熱刺激を痛みと感じることが知られており、まさにTRPV1が痛みを引き起こす温度刺激の受容体であることが明らかになったのです。

 もう一人の受賞者Patapoutian教授も20年来の友人で共同研究もしてきましたので、なおうれしいです。研究室ではPiezoチャネルの論文も発表しています。
今後、温度受容研究、機械刺激受容研究の大きな進展につながってくれればと思っています。


 
生理学研究所 細胞生理研究部門
富永真琴

nobel_tominaga-1.jpg1997年のカプサイシン受容体TRPV1発表当時のJulius研究室メンバーです。サングラスをかけたJulius先生の隣が若き日の富永です。小さな研究室でしたが、世界の研究をリードする大きな仕事をしている自負がありました。



Tominaga-2.jpg
ノーベル財団から発表されたJulius教授の4つのkey publicationsの中の2つで私が著者に入っている論文の表紙です。



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鍋倉所長が会長を務められて2019年3月に開催された第9回アジア・オセアニア生理学会連合大会にJulius教授をお招きした時の写真です。オートファジーでノーベル賞を受賞された大隅良典先生と一緒です。



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Julius教授と一緒にノーベル生理学医学賞を受賞されたアメリカ スクリプス研究所のPatapoutian教授が2010年にPiezoチャネルの論文をScience誌に報告されたときの写真です。


 

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