最終更新日:2007.12.04

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盲点における補完知覚の神経機構



 Neural responses in the macaque V1 to bar stimuli with various length presented on the blind spot.


視野の盲点は網膜から視神経が出ていく場所に対応する視野の領域で、この部分には光受容細胞が存在せず視覚情報が入力されない。それにもかかわらず我々は盲点で視野に穴が開いているようには知覚せず、盲点の周辺と同じような色、明るさ、模様を盲点内部にも知覚する。この知覚は盲点における充填知覚あるいは補完知覚とよばれる。このような知覚は盲点以外にもさまざまな状況で生じることが示されており、視覚系が足りない情報を補完する働きをもつことを示している。我々は大脳視覚野の最初の段階であり、正確な視野の情報をもつ第一次視覚野(V1)が盲点における補完に関わっているかどうかを調べた。サルのV1の盲点に対応する視野の場所を表現している領域からニューロン活動を記録し、さまざまな長さの線分状の刺激を視野の盲点付近に呈示し、ニューロンの応答を詳しく調べた。その結果、V1のニューロンが図に示したように補完知覚に対応する非連続な活動変化を示すことがわかった。図は盲点付近にさまざまな長さの線分刺激を2種類の単眼条件(盲点眼条件および非盲点眼条件)で呈示した時のV1ニューロンの活動例を示している。黒の矢印で示した長さでは線分の一端は盲点内に入っているおり、白抜きの矢印で示した長さでは線分の端が盲点の外に出ている。両者では網膜への視覚入力の変化はわずかであるが、白抜きの矢印のところでは補完知覚が生じるため、知覚される線分の長さは大きく変化する。これら二つの条件でのニューロンの応答を比較すると、盲点眼条件において活動が非連続的に増加していることがわかった。このような活動増加は補完知覚における線分の知覚される長さの増加とよく対応しており、V1が補完知覚の生成に関わっていることを示唆している。

( Matsumoto M and Komatsu H. J. Neurophysiology, 93: 2374-2387, 2005)