臨床応用
2-P12Magnetoencephalography(MEG)
によるローランドてんかんの神経活動の分析鎌田恭輔、宝金清博、阿部 弘、Juergen Vieth*
Benign epilepsy of childhood with rolandic spikes (BECRS) は中心溝近傍に限局するスパイクと夜間に頻発する部分発作に特徴づけられる臨床電気生理学的な疾患である。我々は7例のBECRS症例の自発脳磁界活動を計測して局所脳活動およびスパイクを局在し、臨床症状と比較検討したので報告する。全症例は典型的な発作形式と電気生理学的所見よりBECRSと診断され、うち5症例に軽度の高次脳機能障害を認めた。得られたMEGデータは徐波、速波およびローランドスパイクの分析のためにバンドパスフィルターに通した後、主成分分析またはマニュアル操作により任意の成分を抽出した。3症例において活発な徐波活動が認められ、軽度の高次脳機能障害を認めた全5症例においては速波磁気成分が有意に上昇していた。スパイク頂点のダイポールは常に前方向きであり、それらは4例でローランド領域上半部に、3例で下半部に集中していた。増加した徐波および速波成分もスパイクと同様の位置に局在しており、ローランドてんかんの発作形式はそれらの局在と密接に関連していた。MEGによる局所脳活動およびローランドスパイクの分析および局在はBECRSの鑑別診断および病態解明に有用であった。