生理学実験技術データベース
Experimental Techniques for Physiological Sciences

G2-2 Last update: 2007-07-11

パッチクランプ実験用サウンドモニター回路

The sound monitor circuit for the Patch-clamp experiment
用途 パッチクランプ実験のギガシール達成までの過程を音の高低でモニターする
特徴  パッチクランプ実験におけるギガシールの進行状況は、電極にステップパルスを加えながらアンプからの電流出力をオシロスコープで絶えずモニターしていたが、顕微鏡とオシロスコープを同時に観察することは極めて困難であり熟練を要する操作である。
そこで、ステップパルスによって生じたピペット電流減少の経過を音の高低(ピッチ)の変化に置き換える回路を作製することで、電極と細胞の位置関係を音の変化として知ることができるようになる。
パッチクランプ実験の最初のステップとして、実験者はギガシールを達成する必要がある。
そのため、パッチクランプアンプからの電流出力をオシロスコープで絶えずモニターし、顕微鏡で観察しながらマニピュレータを操作して電極を細胞に近づけるという操作が必須である。その際、顕微鏡とオシロスコープを同時に観察することは極めて困難であり熟練を要する操作である。この回路は、これらの一連の操作を軽減することを目的とし、実験者がオシロスコープの波形にそれほど目を向けることなく顕微鏡等の諸装置の操作に専念できるように、テストパルスによって生じたピペット電流減少の経過を音の高低(ピッチ)の変化に置き換え、電極と細胞の位置関係を音の変化として知ることができる装置である。
使用上の注意  このサウンドモニター回路が対象とするパッチクランプアンプは、AXOPATCH 200シリーズ (Axon Instruments) に合わせて入力信号レベルを設定している
使用法  本実験に入る前に、実際の電極と細胞を使って数回、ギガシール形成まで音が連続的に変化するようにレベル調節を行う。
  1. AXOPATCH 200シリーズはリアパネルの1 mV/pAの固定ゲイン出力端子とサウンドモニター回路の入力端子をBNCケーブルで接続
  2. パッチクランプ実験の準備として、パッチ電極をバスに浸し電極抵抗が2~5 MΩ程度かどうか確認する
  3. 2.の状態で、パッチクランプアンプから5 mV,60 Hzのテストパルスを出力させ、その時の音の大きさや高低を好みに調節する
  4. 実際に細胞を用意し、ギガシールに持って行く過程を確認しながら、その時の音の変化を好みに調整し、細胞に電極が近づき接触した時に音がどのように変化するかを確認する。同時に好みの音質に調整する
  5. ここまでの過程を数回繰り返し、サウンドモニター回路の調整を終えたら、実際にパッチクランプ実験を行う
作成図面 回路図&パーツリスト
参考資料
  • 小原正裕(2002) パッチクランプ実験用サウンドモニター回路の製作
    生理学技術研究会報告 第24号
    外観図