「次世代脳」プロジェクト 冬のシンポジウム 2018 開催レポート

2018年12月12日(水)-14日(金)に開催いたしました、「次世代脳」第3回冬のシンポジウムでは、多大なるご協力を賜り誠にありがとうございました。おかげさまで、430名を超える研究関係者の方にご参加いただきました。
ポスター発表数は141演題にのぼり、熱心な討議が繰り広げられました。若手の発表者を対象とした「若手優秀発表賞」の審査も行われ、28名が表彰されました。

各イベントの主催者または参加者の方に執筆いただいたレポートをご紹介いたします。
また、参加者の皆様にご協力いただきましたアンケートの結果も掲載いたします。
ご感想および2019年度のシンポジウムに向けてのご提案ご提言などがございましたらContactよりどしどしお寄せください。
今後とも「次世代脳」プロジェクトをよろしくお願いいたします。

2018年度 開催レポート



新学術領域研究
[「個性」創発脳][共創言語進化][人工知能と脳科学][思春期主体価値]
─ 脳と社会の共創を科学する:どう仮説し、どうアプローチするか ─


多様な個性が生まれる脳基盤や、社会・対人環境が脳機能を発達・進化させる仕組み、およびそれらの数理モデル、シミュレーション研究など、従来の脳科学があまり扱ってこなか った領域に挑む若手研究者4名に発表いただいた。特に、研究成果や用いたテクノロジーの紹介だけでなく、脳と社会の相互関係についての研究に、どのような仮説でどうアプローチしたのかを中心に発表いただくことで、活発な質疑応答および意見交換がなされ、領域架橋的な研究を担う若手研究者コミュニティの育成という観点でも意義深い場となった。

[意志動力学]x[適応回路シフト]
一 若手の会合同シンポジウム 一

二つの新学術領域の「若手の会」メンバーが研究内容の相互理解とそれぞれの研究における新たな視点の獲得を目指し、最新の研究成果を紹介する合同シンポジウムを企画・運営した。小林領域(適応回路シフト)からは瀬戸川将(福島県立医大)、永井裕崇(神戸大)、石川理絵(東京農大)、東山哲也(同志社大)、櫻井領域(意志動力学)からは企画・運営を務めた酒寄信幸(福島県立医大)、征矢晋吾(筑波大、WPI-IIIS)、諏訪部和也(筑波大)、兵頭和樹(明治安田厚生事業団体)が講演および司会・進行を行い、若手の会の活動報告を含めた活発な討論が行われた。

[適応回路シフト][身体性システム][オシロロジー][人工知能と脳科学][脳情報動態]
─ 5領域合同シンポジウム ─

学際的で挑戦的な脳科学の実現を目指して、第1部「次世代を担う研究者たち」では、掛川渉(慶應義塾大学/適応回路シフト)、田中宏和(北陸先端科学技術大学院大学/身体性システム)、枡井啓貴(京都大学/オシロロジー)、小松三佐子(理化学研究所脳神経科学研究センター/人工知能と脳科学)、檀上輝子(理化学研究所脳神経科学研究センター/脳情報動態)(敬称略)が最新の研究成果を紹介した。第2部「学際研究チュートリアル」では、石井信(京都大学/脳情報動態)、郡宏(東京大学/オシロロジー)、内部英治(国際電気通信基礎技術研究所/人工知能と脳科学)(敬称略)が脳科学に有用な理論的解析手法を解説した。

[マルチスケール脳]
─ トランスオミクスによる精神疾患の分子基盤解明に向けて ─

講演者: 澤田誠(名古屋大学)、岩本和也(熊本大学)、石濱泰(京都大学)、曽我朋義(慶應義塾大学)、柚木克之(理化学研究所)
詳細はマルチスケール脳ウェブサイトに掲載しています。

「次世代脳」実行委員会企画プログラム
一 攻める脳科学 ~脳を見る・脳を変える~ 一
(AMED革新脳プロジェクト・JST-CRESTオプトバイオ領域 共催)

蛍光分子プローブ、顕微鏡計測、オプトジェネティクス、脳疾患のイメージング評価、脳波の脳情報解読など「脳を攻める」計測・操作技術を駆使する研究者4名(宮脇敦史先生、河西春郎先生、樋口真人先生、栁澤琢史先生)が最前線の研究内容を詳細に紹介し、目覚しい技術革新と研究知見を巡って活発な質疑応答が繰り広げられた。

「次世代脳」実行委員会企画プログラム
一 日本の神経科学~温故知新~ 一

本企画は、我が国の脳神経科学の礎を築かれた先生方の研究や想い出とともに、関連分野の最新の知見を紹介するシリーズ企画である。第三回は、故・江橋節郎先生を特集した。堀田凱樹先生からは、江橋先生がその名を歴史に刻んだ筋収縮におけるカルシウムの役割を着想し証明するまでの美しく緻密な論理的思考と並外れた忍耐力を、当時のエピソードや豪快なお人柄を交えつつご紹介いただいた。飯野正光先生からは、イメージング技術や遺伝子組換え技術の導入により神経・グリア細胞など多様な細胞でのカルシウムの新機能の発見に至った、江橋先生以後のカルシウム研究の躍進をご紹介いただいた。江橋先生の研究者・教育者としての偉大さを学ぶとともに、時代を切り拓く研究者が備える資質を垣間見る貴重な機会となった。

[スクラップビルド][脳構築の時計と場][マルチスケール脳] 
一合同若手シンポジウム一

本シンポジウムでは、平成28年度に開始した「スクラップビルド」と「脳構築の時計と場」、本年度から開始した「マルチスケール脳」の3つの新学術領域研究の新進気鋭の研究者15名が最新の研究成果について発表を行った。また、若手研究者35名がポスター発表を行った。他領域からも多くの方に参加していただき、領域間の垣根を超えた活発な議論が行われ、新たなブレイクスルーに向けた研究者交流や共同研究の推進が図られた。