9 労働安全衛生

9.1 概要

岡崎3機関安全衛生委員会および生理学研究所安全衛生小委員会のもとで、安全衛生管理者や産業医による巡視と、安全衛生講習会開催と安全衛生雇入れ教育の実施で安全衛生管理を進めている。  今年度は、衛生管理者の資格をさらに1名が取得し、合計7名となった。今年度の巡視担当者は、明大寺地区が市川班長、前橋係長、伊藤(嘉)係長、山手地区は小原課長補佐、山口係長、森係員であった。後藤産業医との巡視も行った。

巡視内容は以下のような多岐にわたっている。(1) 居室、実験室、廊下通路等の整理・整頓・清潔・清掃(4S)、(2) 非常口周辺、消火器表示、(3) 騒音作業場所騒音測定、(4) 実験排水流しpH点検、(5) 毒劇物・生物由来毒素・麻薬類管理状況確認、(6) 転倒落下防止対策、(7) 事務所衛生環境、(8) レーザー機器、X線撮影装置、MRI等教育管理状況点検、(9) オートクレーブ・遠心機自主点検、(10) 有機溶剤・特定化学物質使用状況・防護具確認、(11) ドラフトチェンバー風速測定、(12) 実験棟周辺環境保全調査(含:非常階段)、(13) 粉塵作業現場・電気工作・機械工作現場状況調査、(14) 遺伝子操作施設、特化物使用場所等危険有害作業場所等点検、(15) 酸素欠乏危険作業状況調査、(16) サル飼育室状況調査、(17) クレーン・デリック等管理状況確認。巡視結果やその改善策は岡崎3機関安全衛生委員会や、生理研教授会議・教授連絡会で報告している。

9.2 活動状況

技術課長と巡視担当者が、技術課安全衛生会議で、年間巡視計画、巡視結果を踏まえた指導や見直しなどの打合せを行った。所長、技術課長、安全衛生担当主幹は、随時打ち合わせを行いながら、安全管理を進めた。今年度の主要な活動を以下にあげる。

  1. 新型インフルエンザの対応について
    2009年前半においては、国の新型インフルエンザ対策の指針にもとづき、発生国への海外渡航の自粛やその届け出などを依頼した。秋頃からは、生理研の職員においてもインフルエンザ感染がみられるようになったので、所内で感染が拡大しないように、感染したと思ったらすぐに医療機関に受診することや、発症から1週間あるいは解熱するまで自宅待機することを徹底している。また、各玄関に消毒液を、生理研受付にマスクを設置した。
  2. 生理研オリエンテーションにおける安全衛生雇入れ教育
    2009年4月15日に岡崎コンファレンスセンターで行い、65名が出席した。「安全衛生の手引き」「危機管理・対応マニュアル」「Guidance of “Health and Safety” Affairs」を配布し、(1) 生理研におけるセクシュアルハラスメント防止、(2) サルの遺伝子導入室、(3) 明大寺地区の駐車、(4) 研究・実験の安全な実施、(5) 組換えDNA実験、(6) 動物実験センタ-の利用、(7) アイソトープ実験センター・廃棄物処理室概要についての講演を行った。
  3. 安全衛生講習会の開催
    2009年7月10日に岡崎コンファレンスセンターで行い、168名が出席した。安全衛生概論と平成20年度安全衛生巡視に基づく注意事項の他に、麻薬、向精神薬、覚せい剤、毒物、劇物の安全な取り扱いについて、岡崎市保健所の方に講演していただいた。
  4. 安全衛生小委員会(第5回)の開催
    2009年10月1日に生理研で行い、28名が出席した。内容は、(1) 生理研安全衛生管理室HP紹介、(2) 安全衛生管理規則、(3) ごみの分別、(4)麻薬・向精神薬・覚せい剤の取り扱い、(5) 毒物・劇物の定期計量および使用記録簿、(6) 巡視項目についてであった。AEDを使った心肺蘇生ビデオも視聴した。
  5. 作業環境測定の実施
    昨年度、エチレンオキシドガスを使用する部署で肝機能検査値の異常値が見られたので、今年度もエチレンオキシドガス滅菌作業場所について作業環境測定を重点的に行った。特定化学物質障害予防規則の改正によりホルムアルデヒド使用場所の管理濃度(0.1ppm以下)が決められ、測定が義務化されたのを受けて、作業場所の環境測定を業者に依頼して行っている。
  6. 特殊健康診断
    サル実験者の麻疹抗体測定を特殊健康診断の項目に追加した。エチレンオキシドガス滅菌作業者の検査値の継続観察を行った。
  7. 事故報告
    クライオスタットの刃を換える時に、指を切る事故があった。替え刃については、以前にも同様な事故が見られ、今後もおきる可能性があるので、注意を促した。通勤時の自動車・自転車事故については6件あり、安全運転の励行をよびかけている。
    事故に至らない場合でも危険だと感じた場合には、所員に報告してもらうようにしている(ヒヤリハット報告)。本年度は、装置などの老朽化による水漏れ事故や、消毒用エタノールによる引火などが報告され、今後の安全管理に役立てたい。
  8. 防災関係
    防災倉庫に、ヘルメット、エマージェンシーキット、非常食、救急用品、簡易トイレなどを備えた。地震対策として、転倒防止用具準備や落下防止対策を引き続き実施した。岡崎市防災管理者講習会に2名が参加した。