生理学研究所年報 第29巻 | |
研究活動報告 | ![]() ![]() |
|
動物実験センター【概要】 平成19年度に掲げた以下の事業計画について,途中修正を加えつつ実施した。
<研究・技術開発> 当センターでは,引き続き下記の研究を進めているところである。2006年度より,学会発表と論文投稿を定常的に行い,施設としての研究活動を開始した。本年度は生理学研究所研究会と学会を開催でき,他部門と同様な活動状況に漸く達した。 皮膚科学および形成外科学領域を中心とした病態モデルの作出:ヘアレス動物およびニホンザルの皮膚を用いて,表皮あるいは真皮に存在するメラノサイトの機能を調べている。ヘアレス動物では表皮にメラノサイトを,そしてニホンザルでは真皮にメラノサイトを有する。本年度は真皮メラノサイトーシスに対する治療方法の検討を行った。また,金属アレルギーおよび光線アレルギーのモデル実験を行った。形成外科領域では創傷被覆材の評価法を動物実験で行った。 伴侶動物の腫瘍細胞バンクの創設:動物細胞利用実用化として伴侶動物の腫瘍細胞を生体培養し,機能性腫瘍の特徴を調べている。確立できた腫瘍細胞株は凍結保存し,伴侶動物の腫瘍細胞バンクの創設を試みている。現在までに,イヌとネコで10ラインの腫瘍株を確立し得た。機能性腫瘍と思われる腫瘍株を見いだし,今後さらに掘り下げる。伴侶動物に長い年月をかけて自然発生した腫瘍細胞を利用して,ヒトの腫瘍に対する診断・治療技術を推し進める方法であり,従来の実験動物に人為的に腫瘍を誘発させて研究を推進する方法とは異なる点で,医学部の臨床系が注目している。獣医領域の研究から医学分野に情報を発信できれば何よりと期待している。 実験動物飼育管理技術の開発:麻酔方法,環境エンリッチメントの評価,給水システムの改善,ストレスの評価と軽減などを検討している。このうち,サルの麻酔方法については,メデトミジン−ミダゾラム組み合わせ法によるニホンザルの不動化を確立し実用に供している。他の研究機関でも利用され定番化している。マウスのエンリッチメントとしては,紙製のnest boxをミュータントマウスに適用して生存率の改善効果を確認できた。給水システムの改善として給水パックを導入し,従来法(給水ビン方式)と比較したが,格段の違いを見いだせなかった。 その他:実験動物臨床医学における救急医療に着手した。また,サル類のcase reportとして副腎皮質機能亢進症の病態およびnomaの治療成績についても検証した。これらの症例をヒトや伴侶動物の病態と比較して,類似点あるいは相違点を探りつつある。
|
|
|
![]() ![]() ![]() |
|
Copyright(C) 2008 National Institute for Physiological Sciences |