公開日 2005.07.13

レプチン代謝調節作用における骨格筋AMPキナーゼの生理的意義を解明:レプチン・トランスジェニックマウスを用いた研究

カテゴリ:研究報告
 発達生理学研究系 生殖・内分泌系発達機構研究部門
 

概要

私どもは、レプチンが骨格筋AMPキナーゼを活性化し、その作用 を通して骨格筋での脂肪酸酸化を促進することを報告している。この機 構は、レプチンの抗糖尿病作用、脂肪毒抑制作用を担う重要な分子機構 の一つと考えられる。しかし、骨格筋AMPキナーゼがレプチンに よって持続的に活性化し、代謝に長期的効果を及ぼすかどうかは明らか となっていない。そこで本研究では、レプチンを過剰に発現するレプチ ン・トランスジェニック(TG)マウスを用いて骨格筋AMPキ ナーゼに及ぼす効果を調べた。その結果、このマウスの骨格筋において AMPキナーゼが恒常的に活性化していることが明らかとなった。興味深 いことに、このモデルマウスに高脂肪食を与えることによりAMP キナーゼの恒常的活性化は消失し、骨格筋中性脂肪含量が増加、個体レ ベルのインスリン感受性も悪化することがわかった。また、標準食に戻 すとTGマウスのAMPキナーゼ活性は再び亢進し、インスリ ン感受性の回復が認められた。この実験結果は、骨格筋脂肪蓄積抑制作 用・インスリン感受性亢進作用におけるレプチン-骨格筋 AMPキナーゼ調節系の重要性を強く示唆する。
(京都大学大学院医学研究科内科学講座 内分泌代謝内科との共同研究)

論文情報

Tanaka T, Hidaka S, Masuzaki H, Yasue S, Minokoshi Y, Ebihara K, Chusho H, Ogawa Y, Toyoda T, Sato K, Miyanaga F, Fujimoto M, Tomita T, Kusakabe T, Kobayashi N, Tanioka H, Hayashi T, Hosoda K, Yoshimatsu H, Sakata T, Nakao K.