公開日 2006.02.06

視聴覚統合に関与する神経回路とその可塑性

カテゴリ:研究報告
 大脳皮質機能研究系 心理生理学研究部門
 

概要

手話が聾者の聴覚野を賦活することから、聴覚をうしなうことにより聴覚野が可塑的変化をきたすことが知られている。一方読唇は、音声言語理解を促進することが知られており、視聴覚の統合が起こっていることを示している。感覚脱失に伴う可塑的変化が、健聴者における聴覚視覚統合の回路を使って起こるかどうかを検証するため、機能的MRIを行った。その結果、健聴者の側頭平面(聴覚連合野)が聴覚視覚統合に関連すること、聾者の側頭平面が手話のみならず、唇の動きや、ランダムドットの動きという視覚刺激により活動することが示された。このことから、感覚脱失に伴う可塑的変化の少なくとも一部分は、感覚統合に関与する回路を介すると考えられた。

論文情報

Sadato N, Okada T, Honda M, Matsuki KI, Yoshida M, Kashikura KI, Takei W, Sato T, Kochiyama T, Yonekura Y: Cross-modal integration and plastic changes revealed by lip movement, random-dot motion and sign languages in the hearing and deaf. Cereb Cortex. 2005 15:1113-1122.