公開日 2006.05.11

てんかんモデルマウスであるカルシウムチャネル変異マウスtotteringにおける視床-大脳皮質投射フィードフォワード抑制の機能障害

カテゴリ:研究報告
 生体情報研究系 神経シグナル研究部門
 

概要

totteringマウスは、電位依存性カルシウムチャネルの一つであるCaV2.1(P/Q型)電位依存性カルシウムチャネルのα12.1サブユニット遺伝子内に変異を持つマウスであり、生後3週ごろから欠神発作を示す。てんかんの一種である欠神発作の原因は、大脳皮質と視床を相互に結ぶ神経ネットワークの異常により生ずると考えられてきているが、その詳細は不明であった。 本研究により、totteringマウスにおいて大脳皮質?層錐体細胞へ入力する抑制性シナプス伝達が減弱していることが明らかになった。大脳皮質?層錐体細胞は、視床から直接抑制を受けるのではなく、抑制性介在ニューロン介するフィードフォワード抑制を受ける。totteringマウスは、この視床-大脳皮質投射のフィードフォワード抑制機能に著明な障害があることが示された。さらに、大脳皮質?層での抑制性シナプス伝達減少はてんかん発症前のtotteringマウスで認められないことから、欠神発作発症時期と抑制性シナプス伝達の減弱が相関していることが示された。

論文情報

Sasaki S, Huda K, Inoue T, Miyata M & Imoto K (2006) Impaired feedforward inhibition of the thalamocortical projection in epileptic Ca2+-channel mutant mice, tottering. J Neurosci 26:3056-3065.