公開日 2006.08.03

GABAergic synaptic transmission modulates swimming in the ascidian larva

カテゴリ:研究報告
 岡崎統合バイオサイエンスセンター 神経分化研究部門
 

概要

GABAは脊索動物の運動機能に重要な神経伝達物質であるが、その進化的起源についてはよくわかっていなかった。 我々は、脊椎動物に近縁な無脊椎動物であるユウレイボヤのオタマジャクシ幼生におけるGABAの役割とGABA作動性ニューロンの形態を調べた。高速度ビデオカメラと細胞外吸引電極による尾部筋活動の同時記録を行い、電気記録が尾 部の運動パターンを感度良く反映することを確かめた。この手法を用いてGABAおよびGABA受容体の拮抗阻害剤であるピクロトキシンの作用を調べ、GABAが左右のリズムそのものの形成よりむしろ、運動パターンの周期や持続時間の修飾に寄与していることを見出した。また、GABAニューロンの形態から、 脊椎動物の脊髄神経細胞の性質と無脊椎動物での 末梢神経支配の性質の両方を有していることを見出した。

論文情報

Brown, E.R., Nishino, A., Bone, Q., Meinertzhagen, I.A., Okamura, Y. Eur J Neurosci 22, 2541-2548 (2005)

【図】

20060803.gif

カタユウレイボヤ幼生の遊泳運動と尾部における電気活動の同時記録。 尾部筋肉に由来する電気活動を細胞外 吸引電極により記録しながら(A)、高速度カメラにより運動パ ターンを同時に調べた。この同時記録により 尾部の電気活動と運動パターンとの間に正確な対応が確認された (B)。(Ba)細胞外電位記録;(Bb)幼生前 端と電極孔中心とを結ぶ線の電極軸に対する角度;(Bc)運動パ ターンの高速度カメラ記録像。(c)のI-IXは(b)の I-IXの時点の画像であることを示す。