公開日 2008.01.18

成熟心筋細胞ATP放出性マキシアニオンチャネルはT管開口部に局在する

カテゴリ:研究報告
 細胞器官研究系 機能協関部門
 

概要

大型のポアを持つマキシアニオンチャネルは、細胞内から細胞外にATPを放出する通路を与える。新生仔ラット心筋細胞は虚血条件下でこのチャネルが活性化されて、ATPを放出することを既に私達は報告している。ところが成熟ラット心筋細胞は、同様に虚血性ATP放出を示すにもかかわらず、マキシアニオンチャネルを発現していないと報告されて来た。今回私達は、走査イオンコンダクタンス顕微鏡法による微細構造観察下においてパッチクランプ単一チャネル記録を行うという「スマートパッチ法」を適用し、マキシアニオンチャネルがT管開口部とその付近の乙帯線上という大変狭い領域にのみ局在することをはじめて明らかにした。これによって長年にわたる矛盾が解決し、成熟心筋細胞の虚血性ATP放出にもマキシアニオンチャネルが関与することが明らかとなった。

論文情報

Dutta AK, Korchev YE, Shevchuk AI, Hayashi S, Okada Y, Sabirov RZ. Spatial distribution of maxi-anion channel on cardiomyocytes detected by smart-patch technique.
Biophys J. 2008 [Published ahead of print on November 16, 2007 as doi:10.1529/biophysj.107.117820]

【 図 】

20080118_1.jpg