公開日 2010.06.01

成体メダカの卵巣で卵を継続的につくり出す幹細胞のゆりかごを発見

カテゴリ:研究報告
 生理学研究所・神経分化部門(東島眞一准教授グループ)
 

生き物にとって、自分たちの子孫を残していく事は最も基本的で重要な事柄です。多くの動物のオスでは、幹細胞が沢山の精子を一生涯にわたって作り続けることが明らかとなっています。一方で、メスが卵を作り出すメカニズムについては、不明な点が多く残されています。基礎生物学研究所の中村修平研究員、田中実准教授らは、メダカを用いた研究により、メダカ成体のメスの卵巣内に、精巣と似た構造があり、そのゆりかごに卵を作り出す幹細胞が存在することを発見、幹細胞が卵を継続的に作り出していることを世界で初めて明らかにしました。本研究に対し、神経分化部門の東島眞一准教授は、クローン解析可能なトランスジェニックメダカの作成に関して協力を行いました。ほ乳類では、卵の元になる細胞の増殖は出生前に止まる、という考え方が定説です。今回の成果は、脊椎動物で初めて、卵巣内に卵をつくる幹細胞が存在することを示したものです。また、魚類が沢山の卵を作り続けることができる仕組みの謎が明らかになりました。この成果は、2010年5月21日に米国科学雑誌サイエンス(電子版)にて発表されました。

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