公開日 2010.12.15

せいりけん市民講座 番外編 12月18日開催
生理研・総研大シンポジウム「神経科学神話を超えて」

カテゴリ:プレスリリース
 「生理学研究所・広報展開推進室
 

内容

このたび、第41回生理研国際シンポジウム開催(12月16-18日:New Frontiers in Brain Science: Towards Systematic Understanding of Human Beings)に合わせて、市民公開講座「神経科学神話を超えて」を開催いたします。
脳科学の進歩により、ヒトの脳機能について理解が深まり、また神経難病の治療法も開発されてきました。一方、脳科学が社会に及ぼす影響や安易な流用(脳科学神話 下記参照)など心配すべきこともあります。「脳神経神話にみられるエセ科学」や、あたかも「脳科学のお墨付き」があるかのような誇大広告・宣伝等々の危険性について、一線の脳神経研究者や物理学者、哲学者や思想家が一堂に会し議論します。池内了(総研大)、河野哲也(立教大)、定藤規弘(生理研)、藤田一郎(大阪大)、米本昌平(東京大)の各パネリストとともに、脳科学と社会のあり方について考えてみたいと思います。

 世の中にはびこる脳神経科学“神話”の実例(経済協力開発機構の報告書より(2007))
【神話1】 右脳と左脳は異なる働きを担っており、どちらが優位かで人は“右脳型”と“左脳型”に分けられる
【神話2】 私たちの脳は全体の10~20%程度しか使っていない
【神話3】 語学や楽器演奏など、学習には適切な時期があり、それを逃してはいけない
【神話4】 睡眠学習は効果がある
【神話5】 記憶力は改善できる
【神話6】 女性の脳と男性の脳は大きく異なる
【神話7】 生後3歳までに、脳の基礎的な能力はほぼ決まってしまう
 

対 象:市民、高校生など   定員:200人程度
日 程:12月18日(土曜日)午後1時半〜
場 所:岡崎コンファレンスセンター(岡崎市明大寺町字伝馬8−1)
参加費:無料    申し込み:申し込みはなくても参加していただけます
問合せ先:http://www.nips.ac.jp/sysnp/sympo2010jp
e-mail: sympo@nips.ac.jp  tel: 0564-55-7774
 

このような脳科学神話はなぜ生まれたのか、それに科学者はどう対処しようとしているのか、それに騙されないためにはどうしたら良いのか、科学を正確に伝えるにはどうしたら良いのかなど、科学と社会を取り巻く状況について、第一線の科学者、哲学者、思想家がとともに考えてみましょう。

オーガナイザー 南部 篤
(ナンブ アツシ: 生理学研究所 教授、総合研究大学院大学 教授、文部科学省 脳科学研究戦略推進プログラム・課題A 代表研究者)
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京都大学医学部卒,医学博士。京都大学医学部助手,米国ニューヨーク大学医学部博士研究員,生理学研究所助教授,東京都神経科学総合研究所副参事研究員を経て,平成14年11月から生理学研究所教授。
専攻:神経生理学。

 

 

 

 

講演者・タイトルなど
1.池内 了 (総合研究大学院大学、宇宙物理学者、世界平和アピール七人委員会)
疑似科学としての神経科学神話
2.定藤 規弘 (生理学研究所、脳科学研究者)
脳科学情報の読み解き方
3.藤田 一郎 (大阪大学大学院、脳科学研究者)
脳ブームの迷信:虚構の指摘になぜ勇気が必要とされるのか?
4.河野 哲也 (立教大学、哲学者)
心は脳のなかだけにあるのではない:脳科学と心理主義の危険
5.米本 昌平 (東京大学・総研大、科学史・科学論思想家)
神経科学研究と科学的認識論