公開日 2011.03.27

網膜の興奮性シナプスの配置、3ミクロンの「網目」(モザイク構造)を発見

カテゴリ:研究報告
 生理学研究所・機能協関研究部門/広報展開推進室
 

網膜は、まさに眼の中にある神経細胞の網目であり、光をキャッチして電気信号にかえ、視覚を生みだしています。これまで、網膜の中の神経細胞が、神経の種類ごとに規則正しく網目上に連なり、数十~数百ミクロンの網目を作っていることはわかっていました。今回、生理学研究所の小泉らは、細胞よりもさらに細かい単位で、神経と神経のつなぎ目であるシナプスも網膜内に網目状に広がっており、細胞よりもさらに細かい3ミクロンの網を作っていることを明らかにしました。今後、人工視覚など網膜を外部から刺激する方法の開発において、この3ミクロンという数字が重要な数字となることでしょう。

J Comp Neurol. 2011 Feb 1;519(2):341-57.
Regular mosaic of synaptic contacts among three retinal neurons.
Koizumi A, Jakobs TC, Masland RH

Mosaic_in_Retina2010.png

図1 ON型方向選択性網膜神経節細胞(ON DS)の樹状突起における興奮性シナプスの位置と、その1次元最近傍解析(Nearest Neighbor Analysis)。3ミクロンのところでピークが得られ、ログロジスティック曲線でフィッティングできる。