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各組織・細胞でのグルコース取り込み速度は、インスリン抵抗性を示す最も重要な指標であり、その測定法は代謝、内分泌分野における基本的な解析技術の一つです。グルコース取り込み速度は、これまで、ラジオアイソトープ(RI)でラベルした2-デオキシグルコース(2DG)が用いて測定されて来ました。しかし、RIを用いる方法は特別な施設が必要であり様々な制約があります。今回、我々は、非放射性2DGを用いたグルコース取り込み速度測定法を開発しました。代謝に影響を与えない微量の非放射性2DGを実験動物あるいは培養細胞に投与し、一定時間後、組織、細胞を採取します。細胞内のグルコース及びグルコース−6—リン酸(G6P)を、ヘキソキナーゼとグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PDH)で完全に分解した後、細胞内に蓄積した2DG−6—リン酸(2DG6P)を高濃度のG6PDHで処理します。これによって生成するNADPHを酵素サイクリング法により発色化合物に変換後、増幅し、比色定量(420nm)します(図1)。本法により、組織・細胞に取り込まれた5-80pmolの2DG、2DG6Pを定量できるようになりました。また本法は、96 wellプレートに試薬を順次添加していくだけで測定出来るので、将来、ロボットによる自動測定も可能です。従って、この方法は、糖代謝及びインスリンシグナルの研究だけでなく、抗糖尿病薬のスクリーニングにも用いることができます。最近、私達との共同開発により、本法を用いた測定キットがコスモバイオ株式会社から販売されました。
Saito K, Lee S, Shiuchi T, Toda C, Kamijo M, Inagaki-Ohara K, Okamoto S, Minokoshi Y. An enzymatic photometric assay for 2-deoxyglucose uptake in insulin-responsive tissues and 3T3-L1 adipocytes. Analytical Biochemistry 412: 9-17 (2011).
非放射性2DGを用いたグルコース取り込み速度測定法の概要
腓腹筋溶解液あるいは血清を添加した2DGと2DG6Pの標準直線