公開日 2012.01.24

富永真琴教授 2011年度「安藤百福賞」受賞決定  
 横浜・カップヌードルミュージアムにて表彰式(3月9日)

カテゴリ:プレスリリース
 生理学研究所・広報展開推進室
 

内容

生理学研究所の富永真琴教授が、食創会 ~新しい食品の創造・開発を奨める会~(会長:伊藤正男 理化学研究所脳科学総合研究センター特別顧問)が選ぶ2011年度 食創会「第16回 安藤百福賞」の受賞者(優秀賞)の一人に選ばれました。なお、表彰式は、2012年3月9日(金)、安藤百福発明記念館(愛称:カップヌードルミュージアム、横浜市)で開催されます。

※安藤スポーツ・食文化振興財団のプレスリリースはこちら。
http://www.ando-zaidan.jp/html/syoku_nr11.pdf

富永 真琴(トミナガ マコト)53才、自然科学研究機構 生理学研究所・岡崎統合バイオサイエンスセンター 教授

受賞テーマ:辛味受容に関する分子メカニズムの研究

受賞内容:受賞者は、辛味物質カプサイシン受容体TRPV1の制御機構や生理学的意義について研究を続け、TRPV1が熱受容体でもあることを発見した。また、TRPV1に構造が似た、ワサビの辛味成分で活性化するTRPA1に関する研究を続けている。さらに、辛くない唐辛子「CH-19甘」に含まれる成分カプシエイトがTRPV1、TRPA1の両方を活性化し様々な生理機能を発揮することを発見した。このカプシエイトには脂肪燃焼を促進する効果があることが見出され、サプリメントとして発売されている。このように、食品の嗜好性に欠くことのできない辛味の感知機構について世界に先駆けて解明しており、辛味成分の機能性を利用した新たな食品の開発が期待される。

<富永教授の研究>
 生体には、様々な温度感受性センサー(受容体)があります。たとえば、トウガラシの成分である辛味物質カプサイシンを感じるTRPV1は、43度以上の熱を痛みとして感じる熱センサーでもあります。逆に、ワサビを感知するTRPA1受容体は、冷たさを感じるセンサーでもあります。富永教授は、TRPチャネルと呼ばれるこうした温度感受センサーの研究を行っています。

富永カップヌードル.jpg
図:TRPチャネルには様々な種類のものがあり、感知する温度が異なる。左はTRPチャネルの電流応答。右は温度感受性と味覚との関連性を示した模式図。