展望

今後、社会能力の発達過程をモデル化するために、実験・観察→モデル形成→実験・観察によるモデル検証というサイクルを、脳機能画像法のみならず、発達期 縦断行動解析を含めて強力に推進する必要がある。そのためには、ターゲット(例えば、向社会行動)を絞って発達モデルを提唱し、その検証を進める必要があ る。発達障害群への機能的イメージングの適用も重要である。さらに、脳機能画像法を発達期へ適用する方向での技術開発と実験デザインの工夫、乳児実験心理 学者との共同、時系列データの統計解析手法の更なる開発が必要となってこよう。技術的には、"研究開始時の背景と研究目的"で 示した、複数個体間の相互作用を定量する手法の開発をさらに進める必要がある。特に、複数個体間の相互作用を定量的に行動解析するためには、視線の動きを 正確に計量することが、重要であることがわかった。これらを推進するための具体的な方策として、次に紹介する2つの計画(向社会行動の神経基盤、集団脳機能計測技術の開発)を実行する。