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5. IGORにデータを取り込む (1)

IGORにデータを取り込むにはいろいろな方法があります。手間、容易度、ファイルの大きさ、取り込みの速さなど、いろいろな要素がありますから、いちがいにどの方法がよいということはできませんが、よく用いるデータファイルからのデータの取り込みに関しては、自分の得意な方法をもっておくことが必要です(使いたいときにうまく取り込めなければ役にたたない)。


(1)テキストファイルとバイナリーファイル

データを取り込むにあたっては、テキストファイル(text file)とバイナリーファイル(binary file)の違いを理解しておく必要があります。よく知られているように、コンピュータの内部では2進法で計算が行われてます。すなわち0と1だけがならんでいる世界です。10進法整数の10は1010、10進法整数の100は、1100100として処理されています。(実数はもっと複雑です。)このようなあらわし方をバイナリーといいます。

テキストファイルは、読めるような形で数値を並べたファイルです。ノートパッドなどのエディタで開けて数値を読むことが出来ます。欠点としては、ファイルのサイズが大きくなってしまう、コンピュータから書き出すまたは読み込むためには、2進数との変換が必要です。言葉を変えれば、テキストファイルの内容は、文字の集まりであり、数値そのものではないということです。テキストファイルの場合、コンピュータの機種やオペレーティングシステム(OS)による差が問題となることはあまりありませんが、改行の記号が、Windows系、MacIntosh、UNIX系で異なります。

テキストファイルと比較してバイナリーファイルの利点は、(1) 記憶スペースが少なくてすむ、(2) 同じ種類の数(整数とか倍制度実数とかのこと)が占める記憶領域が同じ(すなわち一つの記憶スペースが分かっていれば、ファイルの中の何番目かの数値を読み書きできる)、(3) 操作に伴う桁落ちによる精度の低下が最小限に保たれる、などがあげられます。一方短所としては、(1) 読める文字で記憶されているわけではないのでファイルの内容が何であるかわからない、(2) 数値がどのような型でどのように並べられているかの情報が必要、という点が挙げられます。【さらに注意しておかなくてはならない点は、バイナリーの数値の表し方は、コンピュータの機種により異なることです。Windows系のコンピュータとMacIntoshでは、並べ方を逆転させることが必要な場合があります。】

(2)エクセルなど表ソフトデータを取り込む場合
EXELの表で必要な部分をマウスで選択し、IGORのTableにCopy&Pasteする。waveの名前はTableのwaveの名前のところを、マウスの右ボタンでクリックし、Renameを選択し、変更することが可能です。

(3)テキストデータを書き出す
IGORはデータをテキストファイルの形で書き出すことが出来ます。またその書き出したファイルを読み込むことができます。すなわち、書き出したファイルと同じ形式であればそのファイルを読み込むことが出来るはずです。

waveを作って数値をいれ、それをテキストファイルに書き出して見ましょう。テキストファイルに書き出すには、IGOR用にテキストファイルに書き出す方法と、一般的なファイルに書き出す方法の二つがあります。

まず2つのwave aとbをつくる。

make/n=10/d a,b
setscale/P x -1, 0.5, "m", a,b
a=2*x
b=5*x+3

一般的なファイルに書き出す。メニューで、Data -> Save Waves -> Save General Text を選択し、Dialogを開く。書き出すwaveを選んでDoItボタンをクリック。もしくはコマンド入力から、
Save/G/M="\r\n"/W a,b as "GFilleName.dat"

じっさい出力されたファイルの中身は、


a<tab>b
-2
<tab>-2
-1
<tab>0.5
0
<tab>3
1
<tab>5.5
2
<tab>8
3
<tab>10.5
4
<tab>13
5
<tab>15.5
6
<tab>18
7
<tab>20.5

となっています。横に並んでいる数値はTABで区切られています(わかりやすいように<tab>としてあります。実際は<tab>とはあらわれない)。このファイルではSetScaleの情報が保存されていないことに注意。

IGOR text fileとはどのような形になっているのでしょうか?
メニューで、

save/t/m="\r\n"/w a,b as "TFileName.itx"

として、IGOR text fileで保存します。その内容を見てみると、次のようになっています。General text fileと異なり、
最後の部分にscalingの情報が含まれていることに注意。


IGOR
WAVES
<tab>a<tab>b
BEGIN
<tab>-2<tab>-2
<tab>-1<tab>0.5
<tab>0<tab>3
<tab>1<tab>5.5
<tab>2<tab>8
<tab>3<tab>10.5
<tab>4<tab>13
<tab>5<tab>15.5
<tab>6<tab>18
<tab>7<tab>20.5
END
X SetScale/P x -1,0.5,"m", a; SetScale y 0,0,"", a
X SetScale/P x -1,0.5,"m", b; SetScale y 0,0,"", b

(4)テキストデータを読み込む

General text fileかIGOR text fileかで読み込み方は異なりますが、メニューから、Load Waves -> Load Text FileもしくはLoad Igor Textを選べばよい。


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