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6. IGORにデータを取り込む (2)

最近の(細胞)電気生理の実験には、Axon Instruments社のpClampもしくはHEKA社のPulseが使われることが多いようです。これらのソフトウェアで得た実験データをIGORに取り込むには、いろいろな方法があります。そのうちの代表的な方法を紹介します。

(1) pClampのデータを取り込む

pClampのデータファイルは、バイナリーファイルです。最初にヘッダーと呼ばれる部分があり、データ取得に関する情報が入っています。その後はデータばバイナリーの形で並んでいます。したがって、データファイルを読み込むにはヘッダーファイルの内容を読み取ることが必要です。幸いIGORからpClampデータを読み込むツール LoadAxonBinaryFilesが公開されているので、それを利用するのが賢明です。

どうしても、直接データファイルを読まなくてはならない場合、Axon社のツールでheaderというプログラムがあります。ヘッダーの内容を表示してくれるソフトウェアで、参考になると思います。

pClampのデータはいくつかの特徴があります。pClampのデータは12 bitの整数として保存されていまが、16 bitの上位12 bitを使っています。データを整数にするには、そのままの数ではなく、4 bitずらした数、すなわち16で割ることが必要です。 (この項、古いpClampに関する記述。最近のバージョンに関しては調査必要。)

(2) Pulse (HEKA)のデータを取り込む

Pulseのデータファイルでまず知っておくべきことは、データファイルの種類です。Pulseでデータを取ると、3つのファイルが作成されます。ファイルの拡張子はそれぞれ、".pul"、".pfg"、 ".dat"となっています。pulファイルはpClampファイルのヘッダーにあたるファイルで、どのようなデータがどのように蓄えられているかの情報を含んでいます。pgfファイルはデータを得たときのパルスプロトコールが蓄えられています。datファイルはトレースデータを含んでいます。いずれのファイルもバイナリーファイルであるため、簡単に開いて中身を確かめるというわけにはいきません(PulseFitで開くのが手っ取り早い)。

Pulseで得たデータファイルをIGORに読み込むための一番確実な方法は、必要なデータをPulseもしくはPulseFitで、IGOR text fileにしてしまうことです。online analysisの解析データも、IGOR text fileとして保存することが出来ます。

また、Max-Planck研究所のNeher教授の研究室で開発されたPatch Power Tool (PPT)もPulseデータの読み込みに便利なツールです。

しかし大量のデータをテキストファイルに変換し、それをIGORに読み込むことは、時間を要したりして不便な場合もあります。そのような場合は、Pulseのバイナリーファイルを直接読むことも可能です。メニューから、Data -> Load Waves -> General Binary FileでDialogを開けます。PulseやpClampからバイナリーデータを読み込む場合は、

Data Typeは16 bit singed integerを選択。ファイルのどこから、トレースを何本、どれだけの長さの読み込むかを設定します。Byte orderは、Windwosの場合、Low byte firstです。ADコンバーターの1 Unitが実際のどれだけの量になるかを計算し、それをScalingのところで設定します。そしてDoItボタンをクリック。同様のことはコマンド入力からでも可能です。例えば,

GBLoadWave/O/B/N=w/T={16,4}/Y={0, 0.15625}/S=5000/W=15/U=2500 "E:analysis:aki:PNx:991020001.dat"


となりますが、Dialogに入れた数値と照らし合わせれば、大体の見当がつくと思います。


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