メルマガハッシン!<オシロロジー Mail Magazine Vol.11>を発行しました。

平成29年2月27日発行

「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解(オシロロジー)」関連の皆様

大変お世話になっております。

オシロロジー広報・アウトリーチ委員会です。

三寒四温の季節、皆様お健やかにお過ごしでしょうか。

メルマガVol.11です。

さっそくですが、今号の目次です。

==◆オシロロジー Mail Magazine Vol.11目次◆==

【1】計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介(★注目★)

各班間のさらなる連携を目指して。

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【1】計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介(★注目★)

各班間のさらなる交流・連携を目指して、連載中です。

引き続き毎号、計画班研究代表の先生1名と公募班の先生方2名の

紹介を予定しております。

今回は、

1. 福田敦夫 先生(浜松医科大学医学部神経生理学講座科、A01班代表)

2. 佐藤直行 先生(公立はこだて未来大学・複雑系知能学科、B04班)

3. 高橋宏知 先生(東京大学先端科学技術研究センター 、A05班)

の3名の先生方をご紹介させて頂きます(原文通り)。

<< 1. 福田敦夫 先生(浜松医科大学医学部神経生理学講座科、A01班代表)>>

皆さんこんにちは。

A01班のミッションは細胞発振現象と集団発振のモーダルシフトです。

モーダルシフトをもう少し具体的にいうと、

①膜電位の高周波振動から細胞内Ca2+振動への振動モードの移行、

②神経細胞の発振から細胞集団の発振へのリクルートメント、

③さらに神経回路間の同期から、γ振動など脳波の律動成分となる群化過程、

などを想定しています。

これらモーダルシフトの根底にあるメカニズムとしてCl-ホメオダイナミクスとマルチモーダル

GABAを考えており、そのモデルが脳の発達過程とてんかんなどのネットワーク病態です。

これらを時空間的に多次元・多階層でのモーダルシフトとしてとらえ、

そこに潜む新規発振現象を探索しています。

ところで、私とCl-ホメオダイナミクス/マルチモーダルGABAとの関わりは

もう30年近くも前のスタンフォード大学留学中にさかのぼります。

そのエピソードを少しここで紹介させていただきます。

このアイデアを最初に出したのはボスのPrinceですが、その時私は別テーマでGABABシナプスの

自己抑制の発達を見ていましたので、ボスの言葉は頭から消えてしまっていました。

しかし、実験を進めながら幼若な神経細胞では細胞内Cl-濃度がネルンストの式どおりであるのに、

発達とともに計算値からずれてくる事を不思議に思っていました。

そんなある日、ふとボスの言葉を思い出したのです。

つまり、幼若な神経細胞ではCl-を排出する機構が未発達で、成長とともに能動的に

Cl-を排出する機構が発達してくるのではないかと・・・。

実はこれが今では有名なKCC2という排出型のCl-トランスポーターだったのですが、

当時はまだ分子は同定されておらず、全く未知の領域でした。

今も大事に持っている当時の実験ノートのコピーにはその時のことが興奮気味に書かれており、

今読み返すと当時の高揚感がとても懐かしく思い出されます。

その後このトピックはラボの仲間たち(Kriegstein, Mody, Staley, De Koninck, Lo Turco,

Luhmann, Huguenard, Coulter, Otisら)も興味を持つこととなり、

Princeラボ出身者が今でもこの領域をけん引しています。

Prince先生もお元気で、SFNではよくお目にかかります。

今回のオシロロジーではヒトてんかんの原因としてKCC2の複合ヘテロ変異や

(Sci Rep 6, 30072, 2016: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4951812/)、

CRH放出におけるマルチモーダルGABA(Sci Adv 2, e1501723, 2016:

http://advances.sciencemag.org/content/2/8/e1501723.full)を証明しました。

さて、2017年3月28日から30日まで浜松で開催する第94回日本生理学会大会

http://www.procomu.jp/seiri2017/)では、オシロロジー研究班によるシンポジウムが

3つも開催されますので、会員でない方も奮ってご参加ください。

温暖な浜松ではこの時期はもう桜の季節で、2017年NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」

http://www.nhk.or.jp/naotora/)の舞台にもなりました。

学会への参加のついでに少し足を延ばして、市内や近郊の旧所名跡などを

訪ねてみられてはいかがでしょうか。

お待ちしています。

<< 2. 佐藤直行 先生(公立はこだて未来大学・複雑系知能学科、B04班)>>

公立はこだて未来大学・複雑系知能学科の佐藤直行と申します。

公募班に加えていただきありがとうございます。

先生方とのご議論の機会をいただけて大変ありがたく感じております。

私は脳波現象に関わる情報処理メカニズムの研究を行っています。

これまで海馬シータ波に関わる計算理論の構築や、海馬関連記憶課題時の脳波計測などの

研究に携わりましたが、ヒト高次脳機能の理解のためにはダイナミクスの理解に加えて、

脳内での情報表現の理解が重要であると考えるようになりました。

本公募研究の課題としては、言語自体が持つ情報構造を仮定することで、

言語的課題遂行中の数十チャンネルの脳波コヒーレンスデータから、大脳に分散表現される

数百次元の言語関連ネットワークを同定する手法の開発を目的としました。

このような手法を利用し、ヒトの高次脳機能の情報処理メカニズムを同一ダイナミクスで理解し、

かつ高次脳機能に伴う個人差をそのパラメータの違いとして統一的に理解できるような、

計算理論に基づく脳研究アプローチを構築したいと考えています。

<<3. 高橋宏知 先生(東京大学先端科学技術研究センター 、A05班)>>

東京大学先端科学技術研究センターの高橋宏知と申します.

よろしくお願いいたします.

学部・大学院では,機械工学を学びました.

現在も,工学部機械情報工学科での教育を担当しており,

卒論や修論では,機械系の学生を受け入れております.

大学院での恩師は,畑村洋太郎先生と中尾政之先生で,

研究室の主要テーマは,生産技術,設計論,失敗学などでした.

大学院時代,私は,真空装置と格闘しながら,微小電極アレイを 自作しておりました.

試作品は,東京大学医学部耳鼻咽喉科の 加我君孝先生の実験室で動物実験に使っていただきました.

実験を見学しているうちに,自分でもやってみたくなり, 動物実験の手法を教わりました.

それ以来,脳研究の面白さに 目覚め,

現在でも,機械工学という異分野で動物実験に 勤しんでおります.

最近では,時空間的な脳活動パターンから,どのようにして

意識的な知覚や知性が生まれるかに興味があります.

電極間間隔が約20 μmのCMOS電極アレイ,約500 μmの 微小電極アレイ,

約1 cmの脳波など,様々な手法で様々な スケールの脳活動パターンを計測し,解析しています.

オシロロジー領域の研究では,微小電極アレイを用いて,

ラット聴覚系の視床・皮質から同時計測し,両領域間の情報の 流れを

移動エントロピーで定量化することを目指しています.

視床・皮質の相互作用は,一方通行ではなく,双方向であるがゆえ,

様々な振動現象を生み出すと考えられます.

麻酔下と覚醒下や, 意識に上る刺激と上らない刺激で,

どのように,視床・皮質系の 情報流が異なるかを,振動現象に注意しながら調べたいと思います.

せっかく遠い異分野からやって来たので,たくさん仲間を作り, コラボも推進したいと思います.

福田敦夫先生、佐藤直行先生、高橋宏知先生、誠にありがとうございました。

自己紹介は原稿を頂いた順番に、紹介させて頂いております。

既に原稿をお送り頂いておりますが、今回ご紹介させて頂けなかった先生方、

ご理解賜れましたら幸いです。

まだ原稿をお送り頂いていない計画班研究代表・公募班の先生方(本当にあと数名の先生のみです!)、

お待ちしておりますのでどうかよろしくお願いします。

(小林勝哉 31258a[at]kuhp.kyoto-u.ac.jp まで、お送り下さい。)

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前回から今回にかけては新たな関連事業はございませんでした。

皆様、新たに関連事業がございましたら、

事務局までご連絡頂けますようよろしくお願いします。

また、共同研究のための打ち合わせ、セミナー、会議等開催に際しては、

オシロロジーHP内会員ページの「書類(申請・報告)」

にある書類をご提出下さい。

最後まで読んで頂いた皆様、誠にありがとうございました。

今後も月1回のメルマガで情報を発信させて頂ければと思います。

次号は2017/3/25 発行予定です。

次号も、計画班研究代表・公募班の先生方の自己紹介を

連載させて頂きたいと考えております。

皆様、本年も引き続きよろしくお願い致します。

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文部科学省新学術領域研究(H27-31)

「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」

Mail Magazine Vol.11 2016/2/27 発行(毎月25日発行)

発行・編集人:小林勝哉(広報・アウトリーチ委員会)

京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター内

〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54

*本誌に関するご意見・お問い合わせは oscillology[at]nips.ac.jp までお寄せ下さい。

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