メルマガハッシン!<オシロロジー Mail Magazine Vol.41>を発行しました。

「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解(オシロロジー)」

関連の皆様

大変お世話になっております。 オシロロジー広報・アウトリーチ委員会です。

メルマガVol.41です。

発刊が遅くなり申し訳ありませんでした。

さっそくですが、今号の目次です。

今号より、特集として、各計画班代表より

「5年間を振り返っての総括」のテーマで

原稿を執筆いただくこととなりました。

今号は、A02班の南部篤先生に原稿をご執筆いただきました。

南部先生、お忙しいなか原稿ご執筆まことにありがとうございました。

==◆オシロロジー Mail Magazine Vol.41目次◆==

【1】南部篤先生(A02班):「5年間を振り返っての総括」(★注目★)

【2】2019年度事業実施報告 2019年度に実施された事業について。

【3】その他の行事予定 今後予定されている行事について。 ========================

【1】 南部篤先生(A02班):

「5年間を振り返っての総括」(★注目★)

パーキンソン病の謎

生理学研究所 南部 篤(領域代表)

パーキンソン病は、大脳基底核にあるドーパミンを産生する神経細胞が、

変性•脱落することにより、手足が動かしにくい、強張る、

振るえるなどの症状を示す神経難病です。

患者数も1000人に1人くらいと多く、社会的にも問題です。

このような運動障害を起こすメカニズムとして、大きく2つの説、

いずれも大脳基底核のネットワーク異常に注目した説があります。

ひとつは、大脳基底核の発射頻度が異常に亢進あるいは減少することにより、

運動異常が生じるという説です。

1990年前後に提唱され、それまで皆目不明であった

大脳基底核の機能や病態について、すっきりと説明でき、

いまも多くの教科書に載っている説です。

しかし、都合が悪いことに、その後、

パーキンソン病のモデル動物や患者さんから記録を行ってみると、

それに反する報告が沢山でてきました。

近頃、それに替わって支持されているのが、パーキンソン病では、

大脳基底核の神経活動が十数ヘルツ(低ベータ帯域)で発振•共振し出し、

それが大脳基底核内の情報伝達を妨げているのではないかという説です。

実際、このような発振現象は、

パーキンソン病のモデル動物や患者さんから頻繁に記録されます。

しかし、このような発振現象は手足の振るえを容易に説明できますが、

動作の開始が困難になることを説明するのは難しいように思えます。

私たちは、大脳皮質を電気刺激するという方法を用いることにより、

パーキンソン病では、大脳皮質から大脳基底核を介する運動情報の伝達が

阻害されているのが、根源的な変化ではないのかと考えるに至りました。

また、さらに進めて、この変化が、場合によっては

発射頻度の変化や発振現象を引き起こしているのではないかと考えています。

しかし、これを証明するためには実験だけでは不十分で、

数理モデルの力を借りる必要があります。

もし、神経数理学の研究者で、

大脳基底核のモデルやシミュレーションに興味がある方がいれば、

(オシロロジーは残り期間が少なくなってきましたが)共同研究をしませんか?

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【2】2019年度事業実施報告

2019年度に新たに実施された事業です。

今回は、新たな報告はありませんでした。

皆様、共同研究のための打ち合わせ、セミナー、会議等開催に際しては、

オシロロジーHP内会員ページの「書類(申請・報告)」

にある書類をご提出下さい。

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【3】その他の行事予定 今後予定されている行事について。

□ オシロロジー共催シンポジウム「生物の多様な集団発振現象」

「第26回日本時間生物学会学術大会」(10月12日(土)~13日(日))

において、オシロロジー共催のシンポジウムを10月12日(土)に開催します。

生物は多様な集団発振現象であふれており、

様々な階層で様々な周期の生体リズムが観察されます。

本シンポジウムでは、概日リズム、睡眠覚醒リズム、脳波リズム、

神経発火リズム、歩行リズムなど、多様な生体リズムの基盤となる

細胞の集団発振現象について、分子遺伝学、神経生理学、イメージング、

数理解析など多岐にわたるアプローチを用いた研究を紹介します。

それぞれの生理機能について概説すると共に、

リズム発振機構としての多様性と共通性について議論する機会とします。

 詳細については、学術大会ホームページをご覧ください。

http://neurophysiol.w3.kanazawa-u.ac.jp/26jsc/

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第26回日本時間生物学会学術大会

シンポジウム2 「生物の多様な集団発振現象」

開催日時:2019年10月12日(土)9:00~11:30

開催場所:金沢市文化ホール会議棟 大会議室

プログラム:

座長:榎木 亮介(北海道大学電子科学研究所)、郡 宏(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

1. 概日/超短カルシウムリズムを制御する神経回路の可視化解析
 榎木 亮介(北海道大学 電子科学研究所 光細胞生理研究分野)

2. 中枢概日時計神経ネットワークの遺伝学的解析
 三枝 理博(金沢大学 医薬保健研究域 医学系 統合神経生理学)

3. 視床網様核の新規発振活動と全脳活動との関連
 高田 則雄(慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室)

4. 多点計測データに対する機能的結合解析
 北野 勝則(立命館大学情報理工学部)

5. マウスステップにおけるリズミカルなチャンクの形成
 木津川 尚史(大阪大学大学院 生命機能研究科)

6. リズミカルな動きにおける同期現象のモデリングと解析
 郡 宏(東京大学大学院 新領域創成科学研究科)

□ 2019年度オシロロジー国際会議

2019年11月17日(日)〜19日(火曜)に、2019年度オシロロジー国際会議が、

京都大学芝蘭会館にて開催されます。

詳細が決まり次第、アナウンスさせていただきます。

□ 2019年度第2回領域会議

2019年度の第2回領域会議が、

2019年12月20日(金)13:00 - 17:00 & 21日(土)9:00- 16:30に

東京の一橋講堂にて開催されます。

詳細が決まり次第、アナウンスさせていただきます。

領域会議は、原則として班員はご参加ください。

最後まで読んで頂いた皆様、誠にありがとうございました。

今後も月1回のメルマガで情報を発信させて頂ければと思います。

次号は2019/09/25 発行予定です。

皆様、本年も引き続きよろしくお願い致します。

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文部科学省新学術領域研究(H27-31)

「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」

Mail Magazine Vol.41 2019/8/27 発行(毎月25日発行)

発行・編集人:武山博文(広報・アウトリーチ委員会)

京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター内

〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54

*本誌に関するご意見・お問い合わせは oscillology[at]nips.ac.jp までお寄せ下さい。

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