生体磁気計測装置 共同利用実験
生理学研究所は1991(平成3)年に37チャンネルの大型脳磁場計測装置(脳磁計)が日本で初めて導入されて以後、日本における脳磁図研究のパイオニアとして、質量共に日本を代表する研究施設として世界的な業績をあげてきた。同時に、大学共同利用機関として、脳磁計が導入されていない多くの大学の研究者が生理学研究所の脳磁計を用いて共同利用研究を行い、多くの成果をあげてきた。現在、脳磁計を共同利用機器として供用している施設は、日本では生理学研究所のみである。2002(平成14)年度には基礎脳科学研究用に特化した全頭型脳磁計を新たに導入し、臨床検査を主業務として使用されている他大学の脳磁計では行い得ない高レベルの基礎研究を行っている。脳磁計を用いた共同利用研究としては「判断、記憶、学習などの高次脳機能発現機序」「感覚機能及び随意運動機能の脳磁場発現機序」という2つの研究テーマを設定し募集している。また今後は、他の非侵襲的検査手法である、機能的磁気共鳴画像(fMRI)、経頭蓋磁気刺激 (TMS)、近赤外線スペクトロスコピー (NIRS) との併用をいかに行っていくが重要な問題になると思われる。
平成16年度採択表
No. | 研究課題名 | 氏 名 |
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1 | MRIによる前頭連合野の観察と電極定位への応用 | 船橋 新太郎 京都大院・人間環境学 |
2 | ニホンザル上側頭構内皮質のMRIによる構造観察 | 藤田 一郎 大阪大院・生命機能 |
3 | 筋の痛みの脳内投射 | 水村 和枝 名古屋大・環境医学研 |
4 | 機能画像装置を用いた痒みの中枢性抑制ネットワークの解明 | 谷内 一彦 東北大院・医 |
5 | 磁気共鳴画像診断用新規造影剤の開発 | 阪原 晴海 浜松医科大学 |
6 | 両手協調運動の発達と学習効果に関連する脳領域の解明 | 白川 太郎 京都大・医 |
7 | ヒトの下頭頂葉および44野の脳内身体図式への関与 | 内藤 栄一 京都大院・人間環境学 |
8 | 非侵襲的脳機能検査による統語解析 | 吉田 晴世 大阪教育大院・教育 |
9 | 非侵襲的脳機能検査による疲労・疲労感評価法 | 渡辺 恭良 大阪市立大院・医 |
10 | マカクザルのMRIテンプレートの作成とPET研究への応用 | 尾上 浩隆 東京都医学研究機構 |
11 | MnCl2造影磁気共鳴イメージングによる中枢興奮部位の同定 | 森田 啓之 岐阜大・医 |
12 | マンガン造影を用いた,容量刺激,血圧変化に対する延髄および視床下部神経活動の解析 | 鷹股 亮 奈良女子大・生活環境 |
13 | Functional MRIによる乱用薬物による耐性獲得,フラッシングの形成機序の解明 | 吉本 寛司 京都府立医科大 |
14 | 頭針による卒中易発症ラット(SHR-SP)卒中麻痺回復過程における脳内構造変化の非破壊観察 | 井上 勲 徳島大・分子酵素学研究センター |
15 | 磁気共鳴画像装置による脳賦活検査を用いたヒトの高次脳機能研究 | 飯高 哲也 名古屋大院・環境学 |
16 | fMRIを用いたヒト脊髄運動ニューロン活動の自律性の評価 | 野崎 大地 国立身体障害者リハビリテーション研究所 |
17 | 脳における時間順序判断メカニズムの解明 | 北澤 茂 順天堂大・医 |
18 | 皮肉状況理解に関する機能的MRI研究 | 大野 耕策 鳥取大・医 |