磁気共鳴装置 共同利用実験
磁気共鳴装置については「生体内部の非破壊三次元観察」と「生体活動に伴う形態及びエネルギー状態の連続観察(含む脳賦活検査)」というそれぞれ2つの研究テーマを設定し募集している。現在の装置は2000(平成12)年に導入されたもので,3テスラという高い静磁場により通常の装置(1.5テスラ)に比較して2倍の感度をもち,特に脳血流計測による脳賦活実験においては圧倒的に有利である。また,特別な仕様を施してサルを用いた脳賦活実験をも遂行できるようにした点が,他施設にない特色である。さらに,実験計画,画像データ収集ならびに画像統計処理にいたる一連の手法を体系的に整備してあり,単に画像撮影装置を共同利用するにとどまらない,質の高い研究を共同で遂行できる環境を整えて,研究者コミュニティのニーズに応えようとしている。さらに,平成22年度には2台を連動させ,コミュニケーション時の脳活動を計測が可能なdual systemを導入予定であり,社会脳の研究への大きな貢献とともに新たな研究分野の開拓が期待される。
平成22年度採択表
No. | 研究課題名 | 氏 名 |
---|---|---|
1 | サル前部下側頭皮質および前部上側頭溝のMRIに基づく三次元構造観察 | 永福 智志 富山大・大学院医学薬学研究部 |
2 | 高磁場MRIによるマカクザル脳の構造観察 | 中村 克樹 京都大・霊長類研究所 |
3 | 嗅覚がストレスを緩和するヒト脳内メカニズムの解明―fMRIを用いた検討 | 柴田 美雅 産業医科大・医 |
4 | ヒトの表情による脳活動とその制御機序―Subliminal画像を用いた研究 | 中村 浩幸 岐阜大・大学院医学系研究科 |
5 | 磁気共鳴画像装置による脳賦活検査を用いたヒトの情動と社会性に関する研究 | 飯高 哲也 名古屋大・大学院医学系研究科 |
6 | 非侵襲的脳機能検査による疲労・疲労感と学習意欲の評価法 | 渡辺 恭良 独立行政法人理化学研究所・神戸研究所分子イメージング科学研究センター |
7 | 他者の信頼性判断時の脳賦活動部位の同定 | 渡部 幹 早稲田大・高等研究所 |
8 | 時間割引能力の発達とその脳機構の解明 | 田中 沙織 大阪大・社会経済研究所 |
9 | 外国語運用能力の熟達化に伴う言語理解・産出の自動化プロセスの神経基盤 | 横川 博一 神戸大・国際コミュニケーションセンター |
10 | プライミング効果に基づくL2習熟度による神経基盤の解明 | 大石 晴美 岐阜聖徳学園大・教育 |
11 | 味の認知過程における自律神経系の活性化に関与する神経機構 | 姜 英男 大阪大・大学院歯学研究科 |
12 | 眼球運動に関連した脳波インタフェースの構築のための運動計画に関連する脳内情報処理の解明 | 船瀬 新王 名古屋工業大・大学院工学研究科 |
13 | 意志決定における処理制約の脳内機序 | 渡邊 克巳 東京大・先端科学技術研究センター |
14 | 潜在的な動作不安定性と相関する大脳基底核の一過性活動 | 荒牧 勇 独立行政法人情報通信研究機構・未来ICT研究センターバイオICTグループ |
15 | カニクイサルを用いた動脈硬化モデルの病態解明 | 外村 和也 浜松医科大学・分子イメージング先端研究センター |
16 | サルMRI標準脳画像のPET分子イメージング研究への応用 | 尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所神戸研究所 |
17 | fMRIとNIPSの同時計測による大脳の安静時機能的結合ネットワークの研究 | 多賀 厳太郎 東京大学大学院教育学研究科 |
18 | Negation in sentence comprehension | Angela D. Friederici Max Planck Institute for Human Cognitive and Brain SciencesDepartment of Neuropsychology |
19 | 語用論の神経基板の解明に向けて | 松井 智子 京都大学霊長類研究所 |