領域4 分子レベルからの脳機能構築機構の解明 「分子脳科学」
領域代表者:三品昌美
所属機関:東京大学大学院医学系研究科
(研究項目)
A01: 神経細胞の運命決定及び動態に関与する分子の研究 A02: 神経細胞の機能発現に関与する分子の研究 A03: 脳のシステム制御に関わる分子機構の研究
- 脳神経系の構築と脳高次機能のメカニズムを遺伝子・分子レベルから解き明かそうとする分子脳科学の発展は、脳の統合科学への飛躍を可能にする段階に達している。
- 生命現象の根幹である遺伝子・分子に基盤をおき、3つの研究項目を設定し、分子脳科学の諸分野の力を結集し、神経細胞の誕生から脳高次機能に至る統合脳科学を開拓することを目指す。
(推進研究)
A01: 神経細胞の運命決定(分化、選択的細胞死など)や細胞動態(移動、突起伸長、形態形成、特異的シナプス形成など)の分子機構について、細胞自律的な過程と、細胞外環境(細胞外マトリックスや標的細胞)に依存する過程の両面から研究する。 A02: 神経細胞に特異的な機能発現やシナプスの伝達・活動依存的変化に関わる分子(チャネル、受容体、シグナル伝達分子、細胞骨格分子、転写因子、栄養・増殖因子など)を探索し、その生体機能、相互作用、分子動態を明らかにすることにより、脳神経系が体の他の組織の細胞と異なる独自の機能(神経細胞ネットワークの機能、脳領野の機能特性など)を発揮する機構を分子レベルから解明する。 A03: 特定の脳部位で任意の時期に遺伝子を操作する実験系の開発と、特定の機能分子が脳の高次機能(記憶・学習、情動、行動決定など)に果たす役割を神経細胞、神経回路さらに行動発現のレベルで解析する手法の開発とを協調的に発展させ、脳システムの働きと制御の分子機構を明らかにする。
「計画研究」では重点的に研究を推進し、一人または少数の研究者による1年間の独創的、意欲的な研究を公募する。単年度あたりの応募額は、原則400万円程度とし、700万円程度の若干数の優れた研究も含めて40件程度の採択を予定している。