領域4 分子レベルからの脳機能構築機構の解明
領域略称名:分子脳科学
領域番号:021
設定期間:平成16年度〜平成21年度
領域代表者:三品昌美
所属機関:東京大学大学院医学系研究科
(研究概要)
脳神経系の構築と脳高次機能のメカニズムを遺伝子・分子レベルから解き明かそうとする分子脳科学の発展は、脳の統合科学への飛躍を可能にする段階に達している。本研究領域では、生命現象の根幹である遺伝子・分子に基盤をおき、3つの研究項目を設定することにより、分子脳科学の諸分野の力を結集し、神経細胞の誕生から脳高次機能に至る統合脳科学を開拓することを目的とする。
研究項目A01 では、神経細胞の運命決定(分化、選択的細胞死など)や細胞動態(移動、突起伸長、形態形成、特異的シナプス形成など)の分子機構を、細胞自律的な過程と細胞外環境(細胞外マトリックスや標的細胞)に依存する過程の両面から明らかにする。研究項目A02 では、神経細胞に特異的な機能発現やシナプスの伝達・活動依存的変化に関わる分子(チャネル、受容体、シグナル伝達分子、細胞骨格分子、転写因子、栄養・増殖因子など)を探索し、その生体機能、相互作用、分子動態を明らかにすることにより、脳神経系が体の他の組織の細胞と異なる独自の機能(神経細胞ネットワークの機能、脳領野の機能特性など)を発揮する機構を分子レベルから解明することを目的とする。さらに、研究項目A03 では、特定の脳部位で任意の時期に遺伝子を操作する実験系の開発と、特定の機能分子が脳の高次機能(記憶・学習、情動、行動決定など)に果たす役割を神経細胞、神経回路さらに行動発現のレベルで解析する手法の開発とを協調的に発展させることにより、脳システムの働きと制御の分子機構を明らかにすることを目的とする。
このため、次の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する一人又は少数の研究者による2年間の独創的、意欲的な研究を公募する。公募研究の単年度当たりの応募金額は、500 万円を限度とする。採択目安件数は、概ね30 件程度を予定している。
(研究項目)
A01: 神経細胞の運命決定及び動態に関与する分子の研究 A02: 神経細胞の機能発現に関与する分子の研究 A03: 脳のシステム制御に関わる分子機構の研究 (平成18 年度公募研究 平均配分額 3,922 千円 最高配分額 5,000 千円)