第3回プロテオミクス公開講演会の報告

 

 

日時
平成20年1月13日(日) 9:00〜18:10
会場
自然科学研究機構
岡崎カンフェレンスセンター
中会議室

 

 



「脳科学におけるプロテオミクス手法の開発と普及」委員会では、平成20年1月13日(日)岡崎カンフェレンスセンターで、大阪大学蛋白質研究所と共催で公開講演会を開催しましたが、その印象記と写真を掲載いたします。


第3回プロテオミクス・構造生物学講演会印象記


東京医科歯科大学
高森茂雄
第三班 神経回路機能 公募班

 2008年1月13日(日)、自然科学研究機構・岡崎コンファレンスセンターに於いて開催された『第3回 プロテオミクス・構造生物学講演会』に参加させて頂きました。本講演会は、特定領域「統合脳」リソース委員会の一つである「脳科学におけるプロテオミクス手法の開発と普及」委員会の山森哲雄委員長(基礎生物学研究所)と、タンパク質構造研究のメッカである大阪大学蛋白質研究所の中川敦史教授らが中心となりプログラムを企画され、(1)脳神経関連分子の構造解析、(2)疾患のプロテオミクス、(3)神経細胞・シナプスのプロテオミクス、(4)脳・神経科学に応用可能な最先端技術、の4つのセッション構成で行われました。詳しい講演の内容は、正月休み明け初の週末、しかも3連休の中日の日曜日にも関わらず、日本各地から岡崎に集結した参加者のみの特権なので割愛しますが、本講演会は、私にとって有意義かつエキサイティングなものでした。
講演会のサブタイトルが“脳科学に於けるプロテオミクスと構造生物学の現状と将来展望”とあるように、脳神経系が体現する複雑な生命現象や神経疾患の病態を分子レベルで理解するために、如何にして最新のプロテオミクス技術や構造生物学的研究手法を取り入れて行くべきか?という、一貫したテーマのもと、講演会は和やかに進行しました。講演内容は、「タンパク質構造研究の一線級の研究者による、タンパク質構造解析の技術的発展とその実例の紹介」(セッション1.4)、及び、「プロテオミクスによる網羅的タンパク質解析の神経科学への応用例の紹介」(セッション2.3)に大別することができました。特に前者の内容は、通常の学会でのシンポジウムで見受けることがある「成功研究の品評会」に留まらず、「タンパク質構造解析法A to Z」とでもいうべき内容で、解析法の原理の解説から最先端の技術を用いた研究成果の紹介まで、ビギナーにも易しい内容が多かったように思います。神経科学者の一人として参加させて頂いた私にとっては、これからの研究戦略の方向性を考える上で、数多くの有益なヒントを得ることが出来ました。同じ様な印象を持たれた神経科学者が、参加者の中にも多数おられたようで、coffee breakの時間には、神経科学者とタンパク質構造研究者の間で共同研究の可能性が熱く議論されていたのが印象的でした。
このような講演会の開催は、分野間でのアイディアや人の交流が促進し、様々な境界領域の発展に向けた新たな第一歩になると感じました。今後とも、大いに推進されるべき企画だと思います。改めて、今回の講演会の企画運営に尽力された多くの関係者の方々に感謝の意を表したいと思います。一つだけ言わせて頂くとすれば、もう少し日程的に余裕があり、レセプションなどが催されることで、参加者同士のより深い交流が出来たら申し分なかったのでは・・・と少し残念です。
(2008年1月・高森茂雄記)。

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第3回プロテオミクス・構造生物学講演会のお知らせ