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脳の高次機能システム

−目的とする研究内容−

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特定領域研究「脳の高次機能システム」班
領域代表: 木村 實
(京都府立医科大学教授)

人間の心のはたらきは、思考や推論、意志をもっておこなう行動、 喜怒哀楽の感情や情動、言語などの機能によって実現されていますが、 その基礎となる脳のメカニズムは複雑で難解です。
しかし、近年の科学研究の進歩によって、 脳の高次のはたらきを生み出す神経細胞やそのネットワークの信号を動物実験によって 検出することが可能になり、物体の認知や記憶、運動のための脳の情報処理のしくみの 理解が一段と進みました。
また、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)、 機能的核磁気共鳴装置(fMRI)や脳磁図(MEG)などの先端機器が開発されて、 ヒトの脳の活動を画像情報として検出することによって、 さまざまな心のはたらきに伴う脳の各部位の活動マップを得ることが可能になり、 脳の高次のはたらきのメカニズムに迫る研究が可能になってきました。

私たちは、動物実験によって脳の情報処理様式を明らかにする研究、 ヒトを対象として心のはたらきに関わる脳部位を明らかにする研究、 計算理論によって脳の情報処理を明らかにする研究をおこなうことによって、 心のはたらきの脳内メカニズムを明らかにすることを目指しています。
具体的には次に挙げる5つの脳のはたらきを対象に研究にとりくみます。

第一は、例えば三毛猫を見た時のように、対象の形や色の認知、 毛が茶色と白で尾が長いなどの次元の異なる情報の統合、 記憶や経験によって"三毛猫"とカテゴリー分けする大脳皮質のしくみを明らかにする研究。

第二は、例えば野球のピッチャーの投球のように、状況を判断して次におこなうべき動作を決定する過程、 その動作を実現するために手や足の筋を駆動するためのプログラムを作る過程、 プログラムに沿って正確な動作を実行する過程、などの脳のしくみを明らかにする研究。

第三は、食べ物や金銭、セックスなどの"報酬"や、痛み、嫌いな物などの "嫌悪"が快・不快の情動を生み出す脳のしくみ、価値判断や意志決定を左右する脳のしくみを明らかにする研究。

第四は、思考過程や筋道を立てて推論するための大脳皮質前頭葉のしくみを解明する研究。 第五は、主に人間を対象として、文法や意味の理解などの言語のはたらきのしくみを明らかにする研究をおこないます。