領域2 脳の高次機能システム
領域略称名:脳の高次機能学
領域番号:019
設定期間:平成16 年度〜平成21 年度
領域代表者:木村 實
所属機関:京都府立医科大学医学研究科(研究概要)
近年の科学研究と技術の進歩によって、物体の認知・記憶や行動、思考、情動、言語などのいわゆる高次脳機能の作動原理の理解をめざす研究が可能になった。その中心となるのは、脳の神経細胞の担う情報表現とその処理を明らかにする研究、ヒトの高次脳機能を画像情報として捉えるイメージング研究、脳機能の計算理論による研究や、心理学、脳の病態研究などである。本領域の目的は、これらの研究を格段に発展させると共に、実験と計算理論の共同研究によるシステム的理解の発展、行動のメカニズムを担う脳の神経回路的基盤の研究、分子レベルから高次脳機能に迫る統合研究、脳の疾患に関わる脳機能のイメージング研究の特段の発展によって高次脳機能の作動原理の解明に迫ることである。
研究項目A01 においては、感覚情報の認知と記憶、異種情報の統合、主観的認知のための大脳皮質メカニズムを研究する。A02 では、外界情報、記憶情報や報酬価値に基づく目的指向的な動作選択のメカニズムや複数の動作からなる行動の選択・制御メカニズムを研究する。A03 では、大脳辺縁系に由来する情動の情報がどのように生成され、多様な認知過程やアクションの過程を修飾するかを研究する。A04 では、情報の分類や抽象化、状況判断や推論、論理の組み立て、さらに思考の理解につながる情報処理について、前頭前野を中心とする脳のシステムメカニズムを研究する。A05では、言語理解と発語のしくみの研究を中心として、言語の生成、心理表象の生成、文法の処理、センテンス理解、言語的、非言語的コミュニケーションの脳内メカニズムを研究する。このため、次の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する一人又は少数の研究者による2年間の独創的、意欲的な研究、萌芽的研究を公募する。公募研究の採択目安は、単年度当たりの応募金額上限400万円の研究30件程度とする。ただし、特段の実績・発展性に富む研究については750万円を上限とする応募についても考慮する。特に若手研究者による独創的・積極的な研究提案を期待する。
(研究項目)
A01: 情報認知のメカニズム A02: 行動と運動の企画と制御 A03: 情動の生成と制御 A04: 大脳による高次情報処理 A05: 言語とコミュニケーションの脳内メカニズム (平成18 年度公募研究 平均配分額 3,143 千円 最高配分額 5,600 千円)