|
(所属領域) 第2領域、公募班員 |
|
(氏名) 柿木 隆介(かきぎ りゅうすけ) |
||
(所属・職名) 自然科学研究機構・生理学研究所 統合生理研究系感覚運動調節研究部門・教授 |
||
(電話0564-55-7815 |
(FAX)0564-52-7913 |
|
(E-mail) kakigi@nips.ac.jp |
(URL) |
|
(メッセージ) 元々研究者になる気は全く無く(大学院にも行っていません)、医学部卒業と同時に神経内科教室に入局し、以後15年間ずっと臨床をやっていました。ただ、学位取得のために何らかの研究をする必要があったため、恩師であった柴崎浩先生(前京都大学医学部神経内科教授)の御専門であった臨床神経生理学(脳波、筋電図等)を専攻しました。僕は動物実験が大の苦手で、顕微鏡を見ていると気分が悪くなるし、しかも非常に不器用でしたので、正直にいうと脳波ぐらいしかできるものがなかった、というのが真相です。結果的には、臨床神経生理学は臨床医療と密接に結びついているので、僕のような臨床大好き人間にはとても適した研究テーマでした。ロンドン(Queen Square)に留学中も、脳波研究と臨床神経学の研鑽を平行して行っていました。その頃の主要研究テーマは体性感覚と痛覚で、特に痛覚研究は今でも僕のライフワークの1つとなっています。 生理学研究所に大型脳磁計(MEG)が導入された時に、統合生理研究施設が新設され、基礎医学系の佐々木和夫先生、工学系の栗城真也先生(客員)、それに臨床医学系の柿木が教授として赴任しました。この人事は今でも絶妙なものだったと思っていますし、その後生理学研究所がMEG研究のパイオニアとして国内外で高い評価を受けるようになったのは皆さん御存知のとおりです。現在は、体性感覚と痛覚に限らず、視覚(運動視、顔認知)、聴覚、嗅覚、あるいは言語認知や記憶のような高次脳機能に至るまで幅広い研究領域をカバーしています。また、近年は脳波とMEGに加えてfMRIや経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いての研究も行っており、年間平均20編程度の英文原著論文を発表しています。 教授の僕が自分にも他人にも甘い性格であるため、非常に「ゆったりとした(ゆるい)雰囲気」の研究室であることが幸い(?)したのか、12年前の赴任当時には私一人だった研究室も徐々に人が増え、現在は大学院生も入れて20数名の大所帯となっています。 残念なのは、「高次脳」「総合脳」「先端脳」「統合脳」と続く特定領域の中で、MEG研究者はほとんど僕の研究室員あるいは出身者に限られていることで、PETやfMRIに比してMEGに対する評価が低いように思われます。日本のMEG研究は佐々木先生、外山先生という偉大な先達によって開拓され、現在は日本が世界のトップ集団を引っ張っています。日本のMEG研究者が神経科学学会などではあまり発表せず、論文も神経科学系のjournalよりも専門的なjournalに発表する傾向が強い事も、あまり研究内容が皆さんに知られていない大きな要因ではありますが、Japan originalの興味深い仕事も数多く、今後は班員の皆さんの御理解をいただければと願っています。 |
||
(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性) 大学共同利用機関として、脳磁図はもちろん、脳波、TMS、fMRIなどの共同研究を積極的に行っています。 |