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脳機能の統合的研究

−研究内容−

目的とする研究内容  公募内容  研究組織



「統合脳」領域の概要
第一領域代表:丹治 順
(玉川大学学術研究所脳研究施設)

I.総括班について

脳の働きは人類にとって深遠な謎とされてきましたが、 今世界的に、科学的に脳機能を理解しようという研究が具体的に開始されています。 脳の機能そのものを理解するためには、特別な研究の方策が必要です。
現在脳科学は多くの分野で研究が展開されています。
脳の分子、脳細胞、神経回路、脳のシステム、脳の病変に関する研究が挙げられます。 それらの分野の研究はいずれも不可欠であり、 まず最先端の研究を組織として集約し、脳研究のバランスのとれた進展をはかる必要があります。
次に、諸分野の研究に携わる研究者の相互理解を系統的に進め、分野を超えた視点に基づく、 統合的な機能理解を促進することが必要です。
さらに重要なことは、多くの研究分野の有機的な連携による、共同研究を進めることです。 自然科学分野にとどまらず、心理学、教育学、社会科学等の広域的な研究領域との研究交流も必要です。

それらの必要性を満たすために、この特定領域においては、 総括班を置き、脳機能理解を全体的視点から統合的に進めるために、研究企画と調整を行います。 具体的には、特定領域として設定されている「脳高次システム」、「神経回路機能」、 「分子脳科学」及び「病態脳」を統括する機能を果たします。そして、学際的研究を推進します。

総括班の機能を実現するために、班には企画調整委員会、研究評価委員会、 生命倫理委員会、広報委員会等の委員会を設置し、それぞれの活動を開始しています。


II. 支援班について

脳機能理解の目的を果たすためには、機能理解を目指す新たな研究を具体的に支援することも必要です。 この特定領域には「支援班」が設置され、研究の新たな展開に必要なリソースや研究用機器の必要性を検討し、 それらの導入と試験的供給を図ります。
脳研究に適合した研究用のモデル動物や生物的資源の導入・供給が重要な支援の柱となります。
他方、脳機能を計測する先端的な技術と機器の導入も必要性が高いという認識から、 それらの有用性を検討し、試験的使用及び供給を進めます。 ブレインバンク等の脳研究に欠かせない資材確保を支援することも、支援班の役割です。
他方、たとえば脳分子の研究と脳のシステムによる認知機能の研究を統合する研究など、 次元の異なる研究分野の共同研究を具体的に進めるために支援を行います。 先端的脳研究の実施を支えるために、必要な情報をデータベースとして供給することも、 支援班の大切な役割です。脳研究情報、研究者情報をホームページからアクセスすることを可能にします。 今後はニューロインフォーマテイクスと提携し、有用な情報を提供します。


III. 計画研究について

この領域の研究活動の重点は公募研究にあります。したがって計画研究は少数にとどめ、 4つの研究班を設置します。それらの計画研究の趣旨は、 多次元の研究手法による統合的な脳研究を先駆的に行うことにあります。 それらの概要を以下に示します。

  1. 分子生物学的研究と神経回路機能研究の統合による、大脳視覚野の臨界期の解明
    Hensch Takao (理化学研究所)

  2. 細胞生理学的研究と分子生物学的研究の統合による、大脳の運動制御系の可塑性の解明
    伊佐 正(生理学研究所)

  3. 神経回路解析とシステム的脳機能解析による大脳皮質-基底核連関の解明
    高田 昌彦(東京都神経科学総合研究所)

  4. 生理学、神経心理学及び計算論の統合による大脳の高次機能研究
    丹治 順、鈴木 匡子(東北大学) 
    銅谷 賢治 (ATR脳情報研究所・沖縄大学院大学)


    IV. 公募研究について

    この領域の研究活動の主要部分は、公募研究によって進めることを計画しており、 多数の研究提案を公募します。ここでは、次元の異なる脳研究分野の手法を有機的に 結び付けて進める統合的研究や、複数分野にまたがる学際的研究を公募の対象とします。 詳しくは、「公募の概要」をお読みください。