1.相差電子顕微鏡の原理と実践

永山 國昭 (統合バイオ ナノ形態生理)

 当部門では電子顕微鏡における宿題であった、無染色の“生”状態の生物試料の観察、を可能とする位相差電子顕微鏡の開発に取り組んでいる。位相差電子顕微鏡の原理自体は光顕の応用であり難しくないが、正しく働く位相板の作成が過去50年間完成しなかった。

 私たちはこの難問を解決し、正しく働く位相板と位相差電子顕微鏡の開発に成功し、昨年度(2004)から生物への応用研究を10指を越える生物、医学関係の研究者と共同で行っている(一例として図参照)。

 本トレーニングコースではこうした共同研究で明らかになった位相差法の問題点を整理し、トレーニングコース用のカリキュラムを作成し実行したい。



図 無染色氷包埋シアノバクテリアの通常像とヒルベルト微分像の比較

(Y. Kaneko, R. Danev, K. Nitta & K. Nagayama, “In vivo subcellular ultrastructures recognized with Hilbert differential contrast transmission electron microscopy”, J. Electrron Microsc. 54(2005) 79-84.)

コース概要は以下となる。

  1. 相差法の原理と装置の特徴(2時間)
  2. 体系への位相差法の応用例(2時間)
  3. 200kV位相差電顕の実習(4日間)

特に自分の試料を持ち込みたい人は事前相談に応じます。


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