3. in situ hybridization法を用いた二重染色法

小野 勝彦 (分子神経生理部門)

目的

 組織内の細胞をさまざまな方法で二重標識することにより、細胞タイプの同定やその動的状態を明らかにすることができます。本コースでは、その一例として胎仔マウス脳や脊髄の組織切片をin situ hybridization (ISH)と免疫組織化学染色により二重染色することにより、細胞タイプとその増殖能を可視化し形態学的に解析します。
 ISHでは組織をプロテアーゼ処理し、さらに50℃以上の温度で1晩反応させるため、その後の免疫組織化学染色は困難と考えている人も多いかと思います。しかし、抗原や抗体によっては、ISHの後でも組織化学染色で非常に強いシグナルを得られるものがあり、その種類や手順を紹介します。

コース主催者による事前準備(コース参加者は説明を聞くだけです)
 妊娠マウスにブロモデオキシウリジン(BrdU)を投与し、1−2時間の後、胎仔を摘出し固定します。そしてこれをクリオスタットにより切片にしておきます。In situ hybridization用のプローブも準備しておきます。おそらくbHLH型転写因子のひとつOlig1に対するディゴキシゲニン(DIG)標識されたcRNAプローブを使うと思います。

実習と講義

 コース参加者は、主催者の準備した切片とプローブを用いてin situ hybridizationを行います。第1日目はHybridizationまでの組織の処理とhybridization、第2日目はstringency washingとアルカリフォスファターゼ(AP)標識抗DIG抗体との反応まで、3日目はAPを発色させin situ hybridizationを終了します。その後、2番目の反応である免疫組織化学染色のための処理を始め、一次抗体である抗BrdU抗体との反応までを行います。最終日はABC法によりBrdUを取り込んだ細胞を可視化し、Olig1と同時に陽性を示す細胞の割合を解析します。

 実習講義では、ISHの手順、組織切片の作製、プローブ作製の手順について解説します。また、実習で行う以外の組織の二重標識の方法に関して、蛍光抗体法、double ISH、X-gal反応のあとの免疫染色とISHについても紹介します。

 組織化学染色では待ち時間が多いので、上記以外の解説・講義や実習についても短時間で可能なものに関して準備できれば行いたいと思っていますが、現段階では未定です。


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