5A.局所神経回路構築の形態学的解析A ― 光顕2重染色法

窪田芳之 (大脳神経回路論部門)

 免疫組織化学法により、ラット大脳皮質の50μm切片を2種類の抗体を使って2色に染色するための基本的な技術取得を目指します。

 良い切片を作る為の基本は、まず第一に還流固定をいかに上手におこなうかという事にあります。当部門にて日常的に行っている効率の良い動物の還流法の実際を紹介します。

 次に、スライサー(LEICA VT1000S)で50μm厚の脳切片を作成します。それらの切片を、シュークロース緩衝液で軽く脱水の後、液体窒素を使って急速し、冷凍庫にて長期保存します。こうする事により、組織に抗体が浸潤できる様な微細な穴があくと同時に、必用な時にいつでも切片を解凍し使用できるため、1匹の動物から有効に多くのデータを得る事が可能になります。

 その切片を使って、免疫組織化学法を行います。

 まず、過酸化水素水で内在性のHRP活性をおとし、2種類の第一抗体を混ぜた液で一昼夜処理します。

 その後、HRP-第2抗体、biotin-第2抗体で処理し、まず一方の抗体でマーキングされた方をnickel-DAB反応処理し、黒色に染色します。

 次に、切片をABC液で処理し、残りの抗体の方をDABで茶色に染めます。右図の場合は、神経ペプチドVIPをnickel DAB reaction法で黒色に、また、カルシウム結合蛋白calretininをDAB reaction法で茶色に染色してあります。

 包埋は、半永久的に保存できるようepon樹脂を用いて行います。

 実習で紹介する方法で組織を処理すると、光顕レベルで高倍率で2つの神経間での接着を観察できる切片を作成する事ができます。


コース概要に戻る

Copyright(C) 2005 NIPS. All rights reserved.