5B.局所神経回路構築の形態学的解析B ― 超薄連続切片シナプス観察法

窪田芳之 (大脳神経回路論部門)

 非錐体細胞のサブタイプに存在するマーカーで染色した大脳皮質のエポン包埋切片を使って、連続電子顕微鏡観察像からparvalbumin陽性樹状突起の3次元再構築像の作成を目指して実習します。

 まず、マーカー陽性樹状突起(左図の場合は神経ペプチドVIP)を光顕で観察し3次元再構築する樹状突起を選び出し、その部分を含む光学顕微鏡連続写真をおよそ0.5ミクロン深度毎にCCDカメラで撮影記録します。

 次に、その部分を切り出し、超薄切連続切片(50-80nm厚)を作成します。リボン状の連続切片を、フォルンバール膜をはった1穴グリッドに、少なくとも100-200枚程度を完全に連続で取ります。

 上手にリボンが作れる方法を紹介します(例えば、ガラスナイフを使って、ブロックをトリミングをする方法等)。

 それらを鉛染色し、電子顕微鏡で観察します。VIP陽性樹状突起を、光顕連続写真と同定の上、連続的に観察撮影します。

  その写真をもとに、3次元再構築を行い、3次元像をコンピュータ上に作成します(下図参照)。さらに、ソフトウエア上で、樹状突起の直径、周囲長、断面積、シナプス密度等の形態測定を行います。このように、3次元再構築すると、通常の透過型電子顕微鏡像からは得られない各種の形態的な計測が可能となります。



緑色が樹状突起と棘突起、青色が前シナプスブトンを示す。

 超薄切切片の作成を日常行っている方の為の上級コースである為、ウルトラミクロトームの操作に充分慣れている方のみ参加可能とします。超薄切片作成に必用な諸道具(ピンセット、ダイヤモンドナイフ他)の持参を必須とします。また、局所神経回路に興味を持っている方の参加を歓迎します。


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