8C.パッチクランプバイオセンサー法による温度受容解析

富永 真琴 (岡崎統合バイオサイエンスセンター・細胞生理部門)

実習内容: 
 生体内には多くのバイオセンサーが存在する。イオンチャネル型受容体は、リガントが結合することにより内在するイオンチャネルが開口するという特殊な分子であり、イオンチャネル型受容体のいくつかは優れた特異性、高い感受性、早い応答性を持っており、バイオセンサーとして機能する。そこで本コースでは、近年その分子実体が明らかになってきた温度センサーTRPチャネルの機能をパッチクランプ法、Ca2+-imaging法を用いて学ぶ。

 本コースの初めの2日間は、パッチクランプ基本法の原理・技術を習得することを目的として、実習7、8Bおよび8Bと合同で行われる。実際には、あらかじめ分化誘導をかけた神経系NG108-15培養細胞にパッチクランプホールセル記録を適用し、電流固定法による活動電位の観測および電圧固定法により生じるイオンチャネル電流の計測を行う。この際生じたイオンチャネル電流をどのように同定するのかといった解析法のノウハウも紹介する。

 後半のパッチクランプバイオセンサー法では、バイオ温度センサーとして機能するthermosensitive TRP channels (thermoTRPs)の機能を解析する。現在までに、哺乳類では6つのthermoTRPs(TRPV1, TRPV2, TRPV3, TRPV4, TRPM8, TRPA1)が知られており、特異的な活性化温度閾値が存在する。これらのチャネルのうちいくつかをHEK293細胞に強制発現させて(遺伝子の導入方法も学ぶ)、


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