9.in vitro 発現系を用いたイオンチャネル・受容体の機能解析

久保 義弘 (神経機能素子部門)

概要

 このコースでは、イオンチャネル・チャネル型受容体・代謝型受容体等の膜機能蛋白を、アフリカツメガエル卵母細胞、HEK293 細胞等の in vitro 発現系を用いて発現させ、その分子機能と細胞応答を、2本刺し膜電位固定法、パッチクランプ法、細胞内 Ca2+ イメージング法により解析するという、一連の実験の流れを実地体験していただきます。かなり欲張りなコースです。実習内容は以下から選択していただきます。

特徴もしくは売り込み、その1

 パッチクランプに特化したコースは、他に、7, 8 A,B,C, 10A,B と目的にあわせて種々用意されています。本コースでもパッチクランプ法は行いますが、パッチクランプ法の習得自体を目的とされる場合は、そちらを選択された方がよいと思います。このコースにしかないユニークな点は、ツメガエル卵母細胞を発現系とした2 本刺し膜電位固定の実験を行う点です。それって何? 

特徴もしくは売り込み、その2

 ツメガエル卵母細胞は、cRNA を打ち込むとチャネルや受容体を発現してくれる、蛋白合成工場です。その特徴として、パッチクランプに比べて簡単(奥は深いけど)であることがあります。卵母細胞は約 1mm と、大きいです。その大きなマトに、ぶすぶす電極を刺して記録をとっていくので、かなり簡単です。よって、これまで電気生理の経験がない方が、すぐに、クローン化されたチャネル機能やG 蛋白質応答の解析を行おうと考えられる場合にお勧めできるシステムです。

特徴もしくは売り込み、その3

 あまりに盛りだくさんで、総花的過ぎる! ちゃんと実りあるものにできるわけない! と感じられるかもしれません。もっともだと思いますが、その点は考えてあります。このコースでは、電気生理の経験のない分子生物分野の方が電気生理を学ぶことも、分子生物の経験のない電気生理分野の方が分子生物を学ぶこともできるようにしよう。つまり、上記すべてを行うわけではなく、必要とされる部分を習得していただこうと、考えています。そのため、募集人数をしぼり、これまでの経験と興味に応じて、重点をおく実験と到達目標について、man-to-man に近い形で、できるだけ個別対応する計画です。もちろん、どちらの分野も経験のないフレッシュな方が、広く浅く全体を体験してみたいというのも歓迎します。


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