13. 電気生理学及び心理物理学的手法による視知覚メカニズムの解析

小松 英彦 (感覚認知情報部門)

 視知覚の神経機構を明らかにするためには、ある視知覚が生じている時に大脳皮質視覚野においてどのようなニューロン活動が生じ、視知覚の変化に伴ってニューロン活動がどのように変化するかを調べる必要がある。本コースではこのような研究の考え方を学び、研究を行う基礎となる電気生理実験および心理物理実験の実習を行う。

 電気生理実験については、どのように目的を設定し、どのように視覚刺激や課題をデザインし、どのようなシステムで実際の記録を行うかについて、当研究室で行われている実験を体験することにより、理解を深める。電気生理実験では、金属微小電極を用いてサルの視覚皮質からニューロン活動を記録する方法が一般的である。当研究室で用いているプラチナイリジウム電極を参加者各自が作成する。また微小電極を用いて実際に記録実験を行う様子を見学する。視覚に関係する脳部位については、サルの脳標本を肉眼および顕微鏡で観察して体感する。

 一方、調べる対象とする視知覚そのものを客観的に測定するために心理物理実験を行う必要がある。カラーディスプレイ上にコンピュータを用いて作成した視覚刺激を用いて、参加者自らが心理物理実験を体験し、知覚を客観的に測定する方法について学ぶ。

 最後に心理物理実験で測定される知覚の性質と、視覚野から記録されたニューロン活動の関係を明らかにする手法について学ぶ。そのために、参加者毎に用意されたPC上でMatlabのプログラムを動かし、ニューロン活動の統計解析の基本的な考え方と方法を学ぶ。またその結果と知覚をどのように対応付けるかについて学習する。

 このように、本コースは第一線の研究を初心者に分かりやすく体験してもらうことを目的としています。分野については視知覚の研究というかなり限られた分野を扱っています。この分野の研究に関心をもち、将来自分でもやってみたいと考えている大学院生、若手研究者を歓迎します。


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