食欲・食嗜好研究会2016 食欲・食嗜好研究会2016 Last update
2019.3.15


食行動の科学的研究を進めるには

 

食行動の科学的研究に、現在欠けているアプローチ

「食」に対する科学的なアプローチには、以下の3つがあります 
  •  どんな食品が体に良いか       (栄養学)
  •  どうやって食品を準備・提供するか   (食品科学)
  •  なぜ食べるのか(食行動の原理)  (食行動科学
健康的な食生活の実践には、「食物・栄養に関する知識」と「食品の提供」、そして実践につながる「食行動の原理の理解」、の3つが必要です。
先進国においては、既存の学問である栄養学と食品科学の発展により、最初の2つのハードルはクリアされています。

肥満患者や拒食症などでの食行動の異常は、「わかっているが、行動が改善しない」ことです。
つまり、食行動の原理の理解不足にもとづく、「食行動」視点のアドバイス・介入の選択肢の少なさが、問題のボトルネックです。

食行動科学は、以下に述べる多角的アプローチが必要な学際性がハードルとなり、発展に時間を要するため、食行動の原理の理解が遅れる一因になっています。

 

食行動の科学的研究に必要な、多角的アプローチ

「食」には、以下のような多面性があります。
  •  1個体としての、生物学的ニーズにもとづく摂食
  •  1個人としての、学習・経験にもとづく摂食
  •  集団社会・文化に影響を受けた、個人の行動としての摂食

  • さらには、
  •  集団社会を形成するうえでの、社会的交流のツールとしての食
生物学的ニーズにもとづく摂食は、感覚受容と情報処理をベースにしており、生理学、内分泌代謝学、神経科学、構造生物学などのアプローチが必要です。

学習・経験にもとづく摂食に対しては、神経科学、心理学、行動経済学などのアプローチが必要です。

食行動に対する社会・文化といった外部要因の影響を理解するには、進化生物学、人類学、栄養疫学、社会心理学などのアプローチが必要です。

本研究会では、個体レベルの食行動に影響を与える要素(上の3点)について研究している方々で、分野横断的に集まり、学際的な研究領域としての「食行動の科学」を推進するための礎になることをめざしています。

 
食欲・食嗜好研究会の特色:
  •  分野横断的に集まり、各分野のノウハウやニーズを共有します。
  •  中堅・若手の研究者を中心に、時間をかけ濃密な討論を行います。
  •  多角的な視点で課題解決に取り組むために、コラボレーションの醸成を目指します。
  •  建設的なサイエンスの討論を通して、参加者の研究者としての成長を目指します。
  •  最新の未発表データの討論を通して、研究領域の創造的発展を目指します。

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