「スピン生命科学」
新たな学術研究分野を開拓し、さらなる次元へ発展させる

自然科学研究機構・機構長
川合 眞紀

全国の熱意ある研究者の皆さまと手を取り合い、研究活動のさらなる成熟と、新たな学術領域の創成を共に成し遂げていきたい

私たち自然科学研究機構は、生命科学から物質科学、核融合科学、天文科学に至る、幅広い研究分野において先端的な研究活動を進めるとともに、大学共同利用機関法人として世界最高水準の共同利用・共同研究の場を提供しています。

このような中、文部科学省 共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム」に、当機構の所属機関である生理学研究所と分子科学研究所、ならびに機構直轄センターである生命創成探究センターが中核となる「分子・生命・生理科学が融合した次世代新分野創成のためのスピン生命フロンティアハブの創設」が採択され、『スピン生命フロンティア(Spin-L)』が設立されることが決まりました。

さらに4つのノード機関、京都大学 化学研究所、大阪大学 蛋白質研究所、新潟大学 脳研究所、そして量子科学技術研究機構 量子生命科学研究所に本事業を支えていただくことで、固定観念にとらわれない、統合的かつ創造的な「スピン生命科学」の創成を目指します。

本事業の遂行にあたり、これまで交流が無かった広範な分野の研究者同士がつながり、「スピン生命科学」という新たな学術研究分野を開拓し、さらなる次元へ発展させていくことを期待しています。

「スピン生命フロンティア」
を拠点とし、
学際融合による新領域開拓を
推進しましょう。

スピン生命フロンティア 本部長
スピン生命科学コア コア長
伊佐 正(生理学研究所)

「スピン生命科学」は、磁気共鳴法を基盤として、生命科学の新たな領域を切り拓くことを目指して誕生した新学術分野です。

この度、令和7年度よりスピン生命フロンティア本部長、およびスピン生命科学コア長を拝命いたしました、生理学研究所 所長の伊佐 正と申します。就任にあたり、本事業に関わる皆様に謹んでご挨拶申し上げます。

「スピン生命科学」は、磁気共鳴法を基盤として、生命科学の新たな領域を切り拓くことを目指して誕生した新学術分野です。磁気共鳴法は、分子解析から臨床医学まで、幅広い分野で利用される先端技術であり、近年、その技術は飛躍的に進歩し、従来の限界を超えた高感度、高分解能の計測が可能になりました。その結果、物質科学、材料科学、生命科学、神経科学、心理学、臨床医学など、様々な学術領域の発展に大きく貢献しています。

しかし、従来の磁気共鳴法のアプローチでは、解明が困難な現象が数多く存在します。特に、生命現象は非常に複雑なプロセスであり、生体内での分子の動態や相互作用、微弱な信号の検出など、現在もなお、捉えきれない現象があります。

昨今、磁気共鳴法と異分野の融合により、これらの課題を克服できる可能性が示唆されました。そして、生理学、分子科学、生命科学、量子科学、心理学、臨床医学といった多様な学術分野の研究者が連携し、新たな学際領域を創出する必要性が高まりました。

このような背景の下、前スピン生命フロンティア本部長/スピン生命科学コア長の鍋倉淳一先生のリーダーシップにより、大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所、分子科学研究所、生命創成探究センターは、分子科学、生命科学、生理科学が融合した新たな分野を開拓することを目指し、基盤技術である磁気共鳴(MR)装置と、多彩な専門性を持つ研究者を結集したスピン生命科学の研究拠点、「岡崎連携プラットフォーム スピン生命科学コア」を組織しました。そして、この「スピン生命科学コア」は、国内の主要な研究機関である京都大学 化学研究所、大阪大学 蛋白質研究所、新潟大学 脳研究所、量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所と連携し、スピン生命科学分野における、新たな共同利用・共同研究ネットワーク「スピン生命フロンティア」を構築しました。このスピン生命フロンティアでは、『磁気共鳴』を共通の基盤として国内外の多様な学術分野の研究者が集い、協働する機会を創出します。さらに、これらの新規融合分野を先導する次世代若手研究者の育成にも尽力してまいります。今後とも皆様のご協力とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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Spin-L運営事務局
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