生理学実験技術データベース
Experimental Techniques for Physiological Sciences

G1-2 Last update: 2010-04-19

細胞還流チェンバ(入沢研モデルTYPE1)

The chamber for Patch-clamp experiment (IRISAWA Lab. MODELTYPE-1)
用途 パッチクランプ用倒立顕微鏡ステージ上で細胞の還流維持をおこなう
特徴  入沢研究室でも初期の実験段階で多く使用されたタイプであり、材質はアクリル樹脂の板材が使用され、3mm、5mm厚の2種類が作成されたが、5mmのタイプが多く使用された。
 このタイプは、恒温用の金属プレート(入沢研ではホットプレートと呼ばれた)に設置して使用するが、恒温ポンプをシールド外に設置しシリコンチューブなどでホットプレートまで誘導し温度管理をおこなうためノイズ源となりにくく温度調節が容易である。
 還流液はスライダによって容易に切り替えが可能である。
 廃液をそのまま下方に排水するタイプであるため、吸引などを使用したものより液面の動揺が少なくノイズとなりにくい。
使用上の制限 部品数が多く、金属加工をともなうため一定の工作技術が必要
使用法  このチェンバは入沢研モデルTYPE2以前に開発されたもので、恒温機能を一体化したタイプであり、後にウォータジャケットの使用によりチェンバのみが独立して使用されるようになった。
 作成にあたっては5mm厚のアクリル樹脂板材に、縦フライス盤を使用して加工する。板材を使用することはアルコールなどの使用時に変形が少なくクラックなどが生じにくいメリットがある。チェンバの寸法形状には特に精度は要求されないが、スライダの勘合は移動の ズレを押さえるため、多少きつめに作成した後研磨剤を使用してすりあわせをおこなう。排水パイプは10mm径のアクリルパイプをガイドとして使用し、シリコンチューブで排水層まで延長する。また、耐アルコールなどを考慮する場合は板材から旋盤を使用してパイプを作成すること。細胞を収納するラインは貫通加工とし、チェンバ裏側からカバーグラスを化学反応型の二液混合性接着剤を使用して固定する。入沢研ではおもにアラルダイトを使用した。この部分は対物レンズを接触させて破損することが多いが、大型のカッター刃をチェンバとカバーグラスの間に挿入しプラスチックハンマーを使用して剥離することができるので再生は可能である。使用にあたってはニコン倒立顕微鏡ステージ上にデンタルワックスにて固定し使用する。スライダも同様にチェンバ上にデンタルワックスで固定するが、必要に応じて取り付け角度を調整するため接着してはいけない。
 ホットプレートは10mmか5mm厚の真鍮または銅板から製作し、温水を誘導する溝を加工した後ネジ止めまたはクランプ止めしてハンダ付で接合する。接合はガスバーナーで加熱後ハンダの流動現象でおこない、ハンダごて等は極力使用しない。
作成図面 hc-2-2fig.pdf (287KByte)
部品一覧表 1.チェンバ本体(アクリル樹脂5mm板材)
2.排水パイプ(アクリル樹脂10mm丸棒またはパイプ)
3.還流液切り替えスライダ(アクリル樹脂10mm板材、φ2ステンレスパイプ)
4.ホットプレート本体(10mm真鍮または銅板材)
5.ホットプレート上面版(2mm真鍮または銅板材)
6. チェンバ受板(0.5mm真鍮または銅板材)
7.温水入排水パイプ2本(φ10真鍮または銅パイプ)