平成27年度~31年度 文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究(研究領域提案型) 温度を基軸とした生命現象の統合的理解(温度生物学)

講演者・講演内容

富永 真琴(とみなが まこと)

生理学研究所 細胞生理研究部門 /生命創成探究センター 温度生物学研究グループ・教授

「温度を感じるしくみ」
地球上の生物は、環境温度に適応して生きていくために、からだの中(感覚神経や皮膚)に温度計をいくつか持っています。私達も辛いトウガラシを食べると口の中がカッカしますが、カプサイシンのセンサーが熱も感知しています。一方、メントールのセンサーは冷たい温度も感知します。冷たい温度から熱い温度までを感知する温度センサーが、さまざまな生命現象に関わっていることをご紹介します。
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中村 和弘 (なかむら かずひろ)

名古屋大学大学院医学系研究科 統合生理学(旧 第二生理学)・教授

「体温のはなし」
健康ならば、普段、私達が体温を意識する機会は少ないかもしれません。しかし、巧妙な体の仕組みによって体温はつねに調節されており、そのおかげで私達は多様な環境を生きることができます。例えば、体温を調節する仕組みは、病原体から身を守り、肥満を防ぎ、飢餓を生き抜き、身の回りのストレスに対処するために働きます。最新の研究で明らかになってきた、「体温」の新しい世界をご紹介します。
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斉藤 昌之(さいとう まさゆき)

北海道大学・名誉教授

「燃える褐色脂肪でダイエット」
肥満は白色脂肪組織の中に体脂肪が過剰に蓄えられた状態ですが、私達の体は特殊な「褐色脂肪組織」を持っており、体脂肪を燃やして体温を調節する働きがあります。褐色脂肪を活性化したり増やしたりすると体脂肪を減らすことができる、つまり肥満を予防・改善する効果が期待できます。実際に寒冷刺激や唐辛子の摂取で褐色脂肪が活性化して体脂肪が減った例などとともに、体温とダイエットの関係についてご紹介します。

砂川 玄志郎(すながわ げんしろう)

理化学研究所 生命機能科学研究センター・基礎科学特別研究員

「冬眠のひみつ」
冬眠動物は体温が0℃近くまで落ちても死にません。これは全身の代謝が落ちているだけではなく、寒さに対して体が強くなっているからです。このような冬眠動物の驚異的な身体能力を人間に応用できれば、これまでは助からなかった患者を救命したり、今では人間が一生をかけても辿り着けないほど遠い宇宙に行けるようになると期待されています。そんな冬眠研究の最先端をわかりやすくお伝えします。
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