■ はじめに

神経機能素子研究部門 教授 久保義弘

平成15年12月1日付けで着任し、早いもので、昨日(平成20年12月1日)で、5周年を迎えました。

 本研究部門の前身は、江橋節郎先生、小幡邦彦先生が築いてこられました、神経化学研究部門です。平成16年4月1日に、自然科学研究機構の発足と時を同じくして、部門名を神経機能素子研究部門 (Division of Biophysics and Neurobiology) と改称し、現在に至っています。今後もこれまでと同じく、伝統の重みをかみしめつつ、さらなる発展を目指していきたいと思います。

 我々の研究グループは、一貫して、イオンチャネル、受容体等の膜機能蛋白を中心とした神経機能素子群の持つ精妙な分子機能のメカニズムと動的構造機能連関についての研究に取り組んできました。そして、(1) 内向き整流性K+チャネルの内向き整流性に関わる構造基盤の機能的解析、(2) 膜機能蛋白の動的構造変化の全反射照明下FRET解析、(3) マルチパスシグナリングの調節器としての代謝型グルタミン酸受容体、(4) ATP受容体チャネルP2X2の発現密度依存的変化、(5) P2X2 の膜電位と[ATP]に依存する活性化機構、(6) KCNE ファミリーによるKCNQチャネルの電位センサーの動きの調節、(7) KCNQ サブユニット会合の分子基盤の機能解析、(8) カフェインによるマウスTRPA1チャネルの活性化とヒトTRPA1チャネルの抑制、(9)内耳外有毛細胞モーター蛋白プレスチンの単粒子構造解析、などについて研究成果を発表することができました。今後も、これらの研究を発展的に継続すると共に、新たな展開を模索していきたいと思います。

 この5年間、充実した環境と、素晴らしい研究室メンバーに恵まれ、本当に幸せな時間を過ごさせていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。あっという間だったような気もしていますが、これまでの集合写真を見直し、卒業したメンバーと、新しく入ったメンバーの顔ぶれの変化を思うと、時間の経過を実感します。今後も、自分に与えられた状況に感謝する気持ちを胸に、自然体で研究を楽しむ心を原点に、生体機能の本質に迫る研究を目指して行きたいと思います。

 これからも、どうぞよろしくお願いいたします。



■ 久保略歴

1960年
   鹿児島県に生まれる
1985年
   東京大学医学部医学科卒業
1989年
   東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(指導教官:高橋国太郎教授)
1989年 -
   東京大学医学部脳研究施設(高橋国太郎教授)・日本学術振興会特別研究員
1989年 -
   東京都神経科学総合研究所神経生理学研究部門・主任研究員
1991年 -
   カリフォルニア大学サンフランシスコ校(Lily Jan 教授)・ポスドク研究員
1993年 -
   東京都神経科学総合研究所神経生理学研究部門に復帰・主任研究員
   1997年より副参事研究員
2000年 -
   東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科・機能協関システム医学分野・教授
2003年 12月 -
   岡崎国立共同研究機構・生理学研究所・神経化学研究部門・教授
2004年 4月 --- 現在
   自然科学研究機構・生理学研究所・神経機能素子研究部門に改称










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LastUpdate:20081202