生理学研究所
心循環シグナル研究部門
  Division of Cardiocirculatory Signaling, NIPS
 

 

心循環シグナル研究部門では、心臓に隠された謎(情報)を読み解くための基礎研究を、ラットやマウスなどの動物や動物細胞を用いて行っています。
心臓の頑健性(心筋細胞が生まれてから死ぬまで増殖することなく動き続けるという特徴的な性質)を制御するメカニズムを、分子・細胞レベルから細胞・個体レベルまで幅広い階層で研究することで、健康寿命の延伸に貢献しうる革新的な医療基盤技術の開発も目指します。

具体的には、以下の2つに興味を持って研究を進めています。

1.心臓の収縮力(Contractility)を制御する膜タンパク質:心臓の大きさや硬さ、あるいは心筋の交感神経活動応答(陽性変力作用)は心臓の運動機能を規定する因子です。私たちは、細胞膜上に存在する脂質作動性カチオンチャネル「transient receptor potential canonical (TRPC) 3 」が心筋のContractilityを制御する標的分子であることを特定し、そのメカニズムにTRPC3と活性酸素生成酵素(NADPH oxidase)タンパク質との相互作用(Protein-Protein Interaction: PPI)が在ることを見出しています。

2.心筋の頑健性を高めるレドックス制御機構:細胞の膜電位形成や化学反応はすべて電子の授受(酸化還元:レドックス)によって行われている。我々はシステインパースルフィド(Cys-SSH)をはじめとするレドックス活性の高い過イオウ化分子(活性イオウ分子)がミトコンドリアの品質管理やエネルギー代謝を制御することを明らかにしてきました。最近、特定の活性イオウ分子を制御することで心筋細胞のストレス抵抗性や拍動能を増強できることを見出し、その機構解析に取り組んでいます。

生理学研究所
生命創成探究センター
九州大学大学院 薬学部


自然科学研究機構

 生命創成探究センター
  創成研究領域
心循環ダイナミズム創発研究グループ

 
生理学研究所
  生体機能調節研究領域
  心循環シグナル研究部門

〒444-8787
愛知県岡崎市明大寺町字東山5-1
山手3号館2F東

Tel & Fax: 0564-59-5560

西田 基宏
nishida☆nips.ac.jp
当部門は、九州大学大学院薬学研究院と強固に連携し、上記の知見から見出されてきた「心筋頑健性の低下を抑制する創薬」や「心筋頑健性を高める創薬」といった応用研究にも取り組んでいます。
特に、国が安全性を保証する既承認薬の適応拡大(エコファーマ)や、その化合物を基にした新薬開発(グリーンファルマ)研究を推進することで、アカデミア創薬の推進に力を入れています。


大学院生、ポスドク募集

西田研では、博士研究員(ポスドク)および博士課程・修士課程の大学院生を募集しております。バックグラウンドは問いません。興味有る方は連絡をお待ちしております。
 
  NEWS & INFORMATION
2023.12.11
生理研夕食会で大学院生の Zhou さんが「生理研大学院生 優秀発表賞」を受賞しました。
写真はこちら


2023.12.5-19
NIPS Internship 2023 プログラムで、1名の方が体験入学されました。
写真はこちら


2023.10.13
生理研研究会「炎症・免疫系と心血管系の相互作用から切り拓く循環生理機能の解析」を開催しました。
提案代表者:久場 敬司 先生(九州大学大学院医学研究院)
開催日時:2023年10月12日(木) 13:00~10月13日(金) 12:00
詳細HPはこちら
たくさんのご参加、ありがとうございました。


2023.2.18
日本酸化ストレス学会東海支部 第11回学術集会を開催しました。
詳細はこちら


2023.1.13
当部門の研究成果が新聞に掲載されました。
1月13日付 科学新聞「TRPC6チャネル活性阻害で末梢循環障害後の血流回復促進」


2022.12
当部門の論文が、英国の雑誌「British journal of pharmacology」に2022年12月12日に掲載されました。
掲載誌:British journal of pharmacology
タイトル:Inhibition of TRPC6 promotes capillary arterialization during post-ischemic blood flow recovery
DOI:10.1111/bph.15942

当部門の論文が、スイスのオープンアクセス雑誌「Cells」に2022年6月28日に掲載されました。
掲載誌:cells
タイトル:A TRPC3/6 channel inhibitor promotes arteriogenesis after hind-limb ischemia.
DOI:10.3390/cells11132041

生理研プレスリリースは2件とも、こちら


2022.11
当部門の研究成果が新聞に掲載されました。
11月4日付 日経新聞Web 「九大と生理学研究所など、亜鉛イオンが心筋の収縮力を高める機構を解明
11月7日付 QLifePro医療NEWS「慢性心不全、TRPC6チャネルを介する亜鉛イオン流入活性化が新治療候補に-九大ほか」(医療従事者向け記事)
11月9日付 日刊工業新聞Web 「亜鉛イオンで心筋収縮力増強 九大などメカニズム解明、心不全薬の開発期待」(会員登録が必要)
11月9日付 中日新聞 朝刊23面 「亜鉛イオンで心筋収縮 心不全薬の開発期待」


2022.10.26
当部門大学院生(当時)の小田紗矢香さんの論文が、英国の雑誌「Nature Communications」に2022年10月26日(水)に掲載されました。
論文のタイトル:Myocardial TRPC6-mediated Zn2+ influx induces beneficial positive inotropy through β-adrenoceptors.
DOI:10.1038/s41467-022-34194-9
生理研プレスリリースは、こちら


2022.10.13~14
生理研研究会「比較統合生理学的観点からの循環生理の解析」2022を開催しました。
提案代表者:山田 充彦 先生(信州大学・医学部)
信州大学医学部とオンラインのハイブリッド開催で、100名を超える方々にご参加いただきました。
詳細HPはこちら


2022.7.28~8.5
NIPS Internship 2022 プログラムで、1名の方が体験入学されました。
写真はこちら



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